

中央ギリシャのティヒオという山村に生まれたエレニ・カラインドルーは、自然の営みから生まれる多種多様な音や、村人たちが奏でる音楽、そして教会音楽の旋律に囲まれて育った。アテネでピアノと音楽理論を学んだ後、軍事政権の弾圧を受けてパリに逃れたカラインドルーは、そこで民族音楽学を研究する。こうした背景から、民族音楽の深い香りを含みながら、クラシック音楽の優美さをたたえた、彼女独特のメランコリックな音世界が生まれたのだ。一方、自身も映画好きであるカラインドルーは、多くの映画音楽や劇音楽も手掛けてきた。特に40代に入った1980年代以降は、『Ulysses’ Gaze』『Eternity And A Day』などをはじめとするテオ・アンゲロプロス監督による一連の作品のための音楽を作曲した。またこのプレイリストには、大編成のアンサンブルから紡ぎ出される繊細な響きが印象的な舞台用カンタータ『David』のハイライトも収録されている。