

例えば彼女が弾くショパンによる短調の夜想曲のメロディラインは、英知と哀愁をリスナーの心に届けるものであり、シューベルトの即興曲は軽やかさときらめきにあふれている。エリーザベト・レオンスカヤは1945年、当時はソビエト連邦の一部だったジョージアのトビリシで生まれ、10代の前半で演奏会デビューを果たした。モスクワ音楽院で学び、数々のコンクールでいくつもの賞に輝いた彼女は1978年、ウィーンに拠点を変える。その翌年にザルツブルク音楽祭にデビューして以降、世界の主要なオーケストラとの共演も含め、国際的な活躍を続けてきた。音源も高い評価を受けており、中でもスヴャトスラフ・リヒテルと友情を結んだレオンスカヤは、この名ピアニストとの連弾で録音したモーツァルトのピアノ・ソナタ(グリーグによる編曲版)で、卓越したパートナーシップからのみ得られる究極の優しさと輝きを表現し、大きな人気を博した。