

ピアノという楽器はもはや彼の肉体や魂と一体であり、鍵盤にも、ペダルにも、弦にも、ハンマーにも、響板にも、フレームにも、彼の神経が行き届いているのではないかと思わせる。演奏中の彼は、あたかもピアノの周囲の時間と空気を完全に支配しているかのようだ。Alexandre Kantorowは10代で演奏活動を始め、22歳の時、2019年に開催されたチャイコフスキー国際コンクールで、フランスのピアニストとして初めて優勝した。それ以来、世界各地の著名な会場や音楽祭でパフォーマンスを行って聴衆を魅了し、またアルバムも多くの賞に輝くなど高い評価を得ている。このプレイリストでは、リストやブラームスのソロピアノのための作品やストラヴィンスキーのバレエ音楽のピアノ編曲版、さらにはリストやサン゠サーンスのコンチェルトなどで、その圧倒的なピアニズムを存分に楽しむことができる。