はじめての アカデミー室内管弦楽団

はじめての アカデミー室内管弦楽団

1958年にネヴィル・マリナーによって設立されたアカデミー室内管弦楽団は、世界で最も優れた、そして、群を抜いて多才なオーケストラの一つであり、際立って多くのレコーディングを行ってきたことでも知られている。1980年代までに同オーケストラの録音作品のクオリティは高い評価を受けるようになり、バロックから20世紀のイギリス音楽までを収録した数多のアルバムをPhilips Recordsからリリースしていった。そして、それらの多くは今日においてもそれぞれの楽曲に対する良い解釈の手本としての地位を保っている。 近年のアカデミー室内管弦楽団は、名ヴァイオリニストでもある指揮者、ジョシュア・ベルの下で旺盛な活動を展開しており、2024年の3月17日から4月7日にかけて、マリナーの生誕100年を祝う全米ツアーを行っている。この特別にキュレートされたプレイリストでは、同楽団を象徴するクリーンで表情豊かなスタイルで演奏される多彩な音楽を楽しめる。 その中には、ベルにとって思い入れの深い作品も含まれている。まず、マックス・ブルッフの『スコットランド幻想曲』。『ヴァイオリン協奏曲第1番』と並んでブルッフの最高傑作の一つとされる楽曲だ。「かつてハイフェッツが録音した『スコットランド幻想曲』を聴いて育ちました」とベルは言う。「そして、ついに私とアカデミー室内管弦楽団とでこの曲をレコーディングできたのです」 ブラームスの『交響曲第2番』は、ネヴィル・マリナーが同楽団と共に録音した多くの名曲の一つだ。2024年の後半に予定されているアカデミー室内管弦楽団とのツアーで同交響曲を指揮するベルは、この作品を最初から最後まで歓喜に満ちたものだと捉えている。「自然や生命に対する純粋な愛という点でベートーヴェンの『田園』とよく比較される作品です」と彼は言う。「そして、この曲は人生を肯定しているのです」 ブラームスの曲は他にもある。『ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲』だ。ベルが説明する通り、ブラームスは友人の名ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムのためにこの曲を書いた。「2人はちょっとした仲たがいをしていたので、これは和解のための贈り物だったのだと思います」と彼は説明する。「解決と友情がテーマになっていて、とてつもなく美しいものを含んだ曲なのです」。ベルはこのプレイリストにある録音で、親友の名チェリスト、スティーヴン・イッサーリスと共演している。 そして、ベートーヴェンの最も偉大な作品の一つでありながら、それにふさわしい評価を得ていないともいえる『交響曲第4番』。この曲はベルにとって思い出深いものだ。「何年も前、私がアカデミー室内管弦楽団の音楽監督に就任する直前のことでした」と彼は振り返る。「私はこのオーケストラと一緒にベートーヴェンの『交響曲第7番』と『第4番』をレコーディングしました。歓喜に満ちた『第4番』は彼の偉大な交響曲の一つであるにもかかわらず、ともすると見過ごされがちです。絶対に素晴らしい作品なのです。ベートーヴェンにユーモアのセンスや遊び心がないと言う人は間違っています。彼は確かにそういうセンスを持っていて、それはこの交響曲の終楽章にもよく表れています」

国または地域を選択

アフリカ、中東、インド

アジア太平洋

ヨーロッパ

ラテンアメリカ、カリブ海地域

米国およびカナダ