

Apple Music Awards 2021
2021年のような変則的な一年は、予想外のアワードで締めくくろう。Apple Musicがアーティスト・オブ・ザ・イヤーに選んだのは、ダークなインディーR&Bを紡ぐミステリアスな人物としてキャリアをスタートさせ、そこから10年を経て、今やスーパーボウルのハーフタイムショーに出演するまでに活躍する、あのアーティストだ。2021年にはアルバムのリリースこそなかったものの、現代のポップミュージックとそのスペクタクルを定義づけてみせた。続いて、ソングライター・オブ・ザ・イヤーに選ばれたのは、ワイルドな才能と複数の肩書きを持つR&Bシーンの新しいリーダー。彼女のデビューアルバムは今年リリースされたが、その時点ですでに「EGOT」(エミー賞、グラミー賞、アカデミー賞、トニー賞のすべてを受賞すること)の半分を達成している。そして、ブレイクスルー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー、トップアルバム・オブ・ザ・イヤー、トップソング・オブ・ザ・イヤーの3つの賞は、2021年初めに突如登場して、親世代も共感する、高校生活のメロドラマ的音楽観で、ポップシーンとチャートを席巻したティーンエイジャーに贈られる。また、Apple Musicは今年初めて、アーティスト・オブ・ザ・イヤーをインターナショナルに展開し、いくつかの国や地域から優れたアーティストをそれぞれ選出した。受賞者たちのビデオやインタビューを観て、この一年を振り返るラジオ番組を聴いたら、才能あふれるアーティストたちの作品を堪能しよう。
アフリカのアーティスト・オブ・ザ・イヤー:WizKid
ナイジェリア出身のWizKid(本名:Ayodeji Ibrahim Balogun)による4作目のアルバム『Made In Lagos』は、自らが開拓したアフロビーツにR&Bとポップの要素をブレンドした作品だったが、彼は自身のサウンドをアフリカに根付かせることにこだわっている。「僕にとっては、オリジナルであることが重要なんだ」と、彼は語る。「ビデオからプロダクションまで、必ず自分が手掛けたものであり、故郷で生まれたものであるようにしている」。本物であることを追求する彼の姿勢は、Tay IwarやH.E.R.、スケプタなどのスターたちを魅了し、2021年にリリースされたアルバムのデラックス版には、Bujuとジャスティン・ビーバーも名を連ねた。WizKidはすでに、アフリカのApple Musicで最もよく再生されているアーティストの一人だったが、2021年にTemsをフィーチャーした「Essence」で、世界にその名を刻むことになった。この曲はヨルバ語の歌詞が含まれた作品として初めてビルボードのGlobal 200チャートにランクインし、Apple Musicでの月間再生回数は2020年8月以降、アフリカ以外の地域で3倍以上も増加している。「人々はアフリカ発の音楽にもっと注目するべきだ」と、WizKidは語る。「それは魂の糧なのだから」
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フランスのアーティスト・オブ・ザ・イヤー:Aya Nakamura
セカンドアルバム『NAKAMURA』を2018年にリリースして以来、Aya Nakamura(本名:Aya Danioko)はじわじわというよりは、むしろ一気にトップへと躍り出た。マリ出身、フランス育ちのこのシンガーは、R&B、ヒップホップ、ポップ、アフロビーツなどの要素をブレンドした音楽を奏で、今や世界中で最もストリーミングされているフランス語圏のアーティストのうちの一人となった。フランスでは長きにわたって音楽とファッションシーンのアイコン的存在として知られていた彼女だが、2021年はStormzy、Ms Banks、メジャー・レイザー、マルーマといったスターとのコラボレーションや、成功を収めたサードアルバム『AYA』のリリース、そしてフランスのApple Musicのデイリートップ100チャートで首位を獲得したシングル「Bobo」に後押しされ、世界進出を果たした。「世界的なスターになるなんて、夢見たこともなかった」と、AyaはApple Musicに語る。「私のファンの中心はフランスにいる。彼らは初めから私の作品を聴いてくれた、自分にとって最も大切な存在なの」
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ドイツのアーティスト・オブ・ザ・イヤー:RIN
RIN(本名:Renato Simunovic)は今年10月、“大都市にいなくても強いインパクトは与えられる”というステートメントを掲げて、サードアルバム『Kleinstadt』(小さな町、の意)をリリースし、その信条を自ら示してみせた。シュトゥットガルト郊外のビーティッヒハイム=ビッシンゲンにある自宅で、RINはクラウドラップとトラップのサウンドをベースに、R&B、グランジ、ハウス、さらにはインディーロックを重ねて、ジャーマンラップの領域を切り開くことを使命としている。「僕は自分自身に、『何か他のことはできないか?』って問いかけたんだ」と、彼はアルバムについて語る。「それは次の大きな行動を起こすとか、新たなストリーミングヒットを生み出すとかではなくて、ただ、実体のあるものを作りたかったのさ」
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日本のアーティスト・オブ・ザ・イヤー:Official髭男dism
東京を拠点に活動する4人組バンド、Official髭男dism(藤原聡、松浦匡希、楢﨑誠、小笹大輔)は、J-Popとロックの架け橋となるようなサウンドで旋風を巻き起こした。2018年にメジャーデビューを果たした彼らは、2019年から2021年にかけてApple Music Japanで最も再生されたアーティストの一組であり、音楽ストリーミング市場において最初のサクセスストーリーを実現させたバンドとして、後続のアーティストたちに道を切り開いた。彼らが2021年にリリースしたアルバム『Editorial』には、よりエレクトロニックな要素を実験的に取り入れた楽曲がフィーチャーされている。「つまずいたり、踏んだり蹴ったりみたいなのが楽しくて音楽やってるところもあるなと思っていて」と、ボーカル/キーボードの藤原聡はApple Musicに語る。「本当にミスばっかして、やっと自分たちの一番理想的だと思う形を作る、みたいなバンドなんです。時間もかかるし。だからこそやる意味がある、だからこそ音楽にずっと夢中なんだろうな」
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アーティスト・オブ・ザ・イヤー:ザ・ウィークエンド
2020年に「Blinding Lights」を筆頭にトップ10入りしたシングルをいくつも収録した大ヒットアルバム『After Hours』を発表したザ・ウィークエンドことAbel Tesfayeにとって、2021年は次作のリリースまでの間の、比較的静かな一年となるはずだった。だが彼は、意欲的なスーパースターにとっての休養期間という概念を覆してみせた。スーパーボウルでの必見のソロパフォーマンスに加え、『サタデー・ナイト・ライブ』の出演では、俳優のダニエル・クレイグによるパフォーマンス前の紹介が切り取られて、昨今最もよく見かけるミームの一つとなり、SNSでは何か月にもわたって、多くの人々が週末(ウィークエンド)の到来を伝えるための儀礼として、そのミームを利用している。また彼は、現代のポップミュージックの多彩さを象徴するかのように、ヒップホップからポップ、ダンス、ラテンミュージックまで、さまざまなジャンルのアーティストと共同で制作した楽曲を発表し、アルバムをリリースしたのと同じくらいの野心的な活動を行った。デビュー作であり、圧倒的な影響力を与えた2011年のミックステープ『House of Balloons』(今年からストリーミング配信が可能となった)の発表から10年、ザ・ウィークエンドは多くのスターが成し得なかったような形でカルチャーシーンに存在感を示してきただけでなく、パンデミック下における仕事ぶりから、長引く混沌の日々にも揺らぐことのないアーティストとして信頼されるようになった。
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ソングライター・オブ・ザ・イヤー:H.E.R.
「普段感じることや目にするものなど、私たちが生きている人生を最適な言葉で表すことこそが、ソングライターの目的なんだと思う」と、H.E.R.はApple Musicに語る。「それは物語を伝え、ある意味で足跡を残す手段でもある。ドキュメンタリーを観たり、本を読んだりしなくても、曲を聴いて、マービン・ゲイやニーナ・シモンがその中で言うことに触れれば、いろんな事について正確に理解できるから。ソングライターが、歴史上そういう役割を果たしてきたことを考えると、曲を書くことは、まさに物語を伝えるための一つの手法だと言えるかな」。R&Bのファンには、ヒップホップの要素を含んだR&Bの楽曲がチャートを制したり、夜のサウンドトラックになったりすることを非難する人もいる中で、かつてGabi Wilsonという名義で知られたH.E.R.は、正統派のスタイルを踏襲する生粋の古典主義者のごとく自身の作品に取り組んでいる。そんな分類をされることを避けることもできたはずだが、彼女はあえて歩み寄り、R&Bの歴史を自身が手掛けるサウンドの全てに取り入れることで、その特殊性を超越できるような音楽を生み出すのだ。彼女がスタジオやステージに足を踏み入れるとき、そこに伝統も一緒に持ち込むのだった。今年の初め、H.E.R.は複数のライブパフォーマンスからスタートしたが、それぞれが注目に値する内容だった。そして、2つのグラミー賞(通算3度目と4度目)とアカデミー賞(初受賞)とBETアワード(通算2度目)という、一連のトロフィーがそれに続いた。しかし何よりも印象的だったのは、これらの偉業が、彼女が全21曲で共同ライターとして手掛けた2021年のデビューアルバム『Back of My Mind』のリリースよりも前に成し遂げられたということだろう。
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ブレイクスルー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー:オリヴィア・ロドリゴ
オリヴィア・ロドリゴにとって、2021年は初めてのことが続いた壮大な一年として記憶されるだろう。1月にリリースした失恋アンセム「drivers license」は、すぐにシングルチャートで1位を獲得。Apple Musicでは2021年に最もストリーミングされた楽曲となり、デビューシングル初週のストリーミング再生回数において史上最多を記録した。続いて5月には、10代の失恋を鮮やかかつ親密に描いたファーストアルバム『SOUR』をリリースし、こちらもすぐさまアルバムチャートで1位を飾った。数々のメジャー音楽誌で表紙を飾り、テイラー・スウィフトやアラニス・モリセットなど、音楽を好きになるきっかけとなったソングライターたちとの初対面も果たした。彼女にとっての教訓とは、失恋して胸が張り裂けそうなくらい恥ずかしい瞬間を、いかにして良いものへと変化させるかということだ。「そういう気持ちを恥ずかしがるのではなく、本当に誇りに思えるものにできるのは、とても特別なことだと思う」と、ロドリゴはApple Musicに語る。人生が激変したこの一年の締めくくりに、彼女がApple Music Awardsのブレイクスルー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー、トップ・アルバム・オブ・ザ・イヤー(『SOUR』)、トップ・ソング・オブ・ザ・イヤー(「drivers license」)の3部門で輝いたのは当然のことだろう。