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ノラ・ジョーンズの9作目のアルバム『Visions』は、物悲しい瞬間でさえも遊び心にあふれている。シンプルなビートとベースラインの上で舞う独創的なギターとキーボードの音色に乗せて、ジョーンズは彼女ならではのゆったりとした歌唱で人生について思いを巡らせる。ジェフ・トゥイーディと共同プロデュースした2020年のアルバム『Pick Me Up Off the Floor』には、より多くの人物が参加していたが、今作の『Visions』はEl Michels Affairの共同プロデューサー/マルチ奏者であるLeon Michelsを中心に、わずか数名によって展開する。アルバムの前半ではジョーンズとMichelsがすべてを演奏しており、Michelsの系譜であるDaptoneとTruth & Soul Recordsに関連した、音数の少ないレトロソウルサウンドに包まれている。後半に入ると、「On My Way」と「That’s Life」を除けば、少し広がりを見せ、『Pick Me Up Off the Floor』でも活躍した、トランペット奏者のデイヴ・ガイ、ベーシストのJesse Murphy、ドラマーのHomer Steinweissとブライアン・ブレイドが、2人と共演している。