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オーケストラやピアノを巧みに取り入れた壮大なロックサウンドによって、ザ・ヴァーヴの名を一躍世に知らしめた代表作。トリッピーなサイケデリックサウンドを鳴らす異端のバンドだった彼らが、本作ではよりポップでメロディアスな曲作りにチャレンジしている。異端とメジャー、アバンギャルドとポップ、それらの相反する2つの要素が奇跡的なバランスで両立した一作となった。ザ・ヴァーヴは前作『A Northern Soul』のリリース後、メンバー間の不和によって一度は解散している。そんな彼らが奇跡的に和解、再び全員の総力を結集して完成にこぎ着けたというドラマ性も、このアルバムの伝説に花を添えている。傷ついた魂を癒やすようなリチャード・アシュクロフトの歌声と崇高なバラッドに胸打たれ、ニック・マッケイブのギターが放つニヒリスティックな轟音のカオスに陶酔する、そのどちらもが本作の醍醐味だ。全世界で1000万枚を超えるセールスを記録、不朽のアンセム「Bitter Sweet Symphony」をも生んだ本作は、ブームの終焉が近づいていたブリットポップの最後の栄華を象徴するアルバムでもある。