

ダーティ・プロジェクターズなど突出した才能を次々と輩出しつつあるブルックリンシーンのもうひとつの顔、 Grizzly Bear の前作から3年を経て発表された3作目にあたるアルバムが、この 「Veckatimest」 だ。彼らの名刺代わりにもなった前作 「Yellow House」 をリリースしたあと、レディオヘッドのツアーのオープニングアクトに起用されたり、TVオン・ザ・レイディオ、FEIST などとの共演など、彼らを取り巻く環境が様変わりしつつあるなかでのリリースとなった。そういったトピックが遠因しているかいなかは定かではないが、前作で顕著だった 「素朴」 ともいえるバンド然としたアンサンブルは鳴りを潜め、その代わりとしてストリングスによるアレンジ、ていねいなコーラスワーク、そして場の空気とでも呼びうる形をなさないがしかし極めて重要なファクターが導入されている。そしてできあがった本作は、決してサイケデリックという言葉に収斂させてしまうことだけは避けねばならない、豊穣さと幽玄さを兼ね備えた重みのある作品となった。数々の映画音楽やビョーク、ルーファス・ウェインライトなどとの仕事でも知られる作曲家のニコ・マーリーや、ミシェル・ルグランの姪のヴィクトリア・ルグランが参加。