The Head On the Door

The Head On the Door

パンクの余韻の中から登場し、80年代前半にはダークでソリッドなポストパンク、ゴスサウンドがトレードマークだったザ・キュアーは、通算6作目となる本作でよりポップでメロディアスな方向へと大胆にかじを切り、その結果「Inbetween Days」や「Close to Me」といったバンド屈指のシンガロング・アンセムが生まれた。ロバート・スミスの右腕的存在だったオリジナルベーシストのサイモン・ギャラップの復帰作でもあり、各曲のみずみずしくもパワフルな演奏に当時のバンドのコンディションの良さがうかがえる。次作『Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me』はよりメジャーな訴求力を持った作品になったが、本作では未だニューウェイブ時代の彼らを思い起こさせる陰りも健在で、そのポップとアート、明と暗の絶妙のバランスがアルバムの最大の魅力だ。英国のカルトバンドから世界的ロックバンドへと劇的変貌を遂げることになるキュアーの、そのちょうど端境期(はざかいき)に位置する作品でもある。

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