オーストリアの重鎮ピアニスト、ルドルフ・ブフビンダーは、ベートーヴェンの「ディアベリ変奏曲」に関する権威で知られる。本作には、Diabelliが創作したワルツ主題をもとにしたベートーヴェンによる33の変奏曲に加え、ベートーヴェンと同時代の52作品からフンメル、シューベルト、リスト、モーツァルトの息子Franz Xaver Mozartら8人の作品を収録。さらに興味深いのは、現代の作曲家による新しい11作品からなる「Diabelliによる変奏曲」だ。演奏時間の最も長いレラ・アウエルバハの作品は不吉な予感をまとい、エネルギーが炸裂するブレット・ディーン、深い余韻に満ちたマックス・リヒター、ウイットに富んだシチェドリンなど、個性あふれる作品が次々と演奏される。澄み切った美しさをたたえたタン・ドゥン、演奏技巧を楽しめるJörg Widmannなど、充実の新作の誕生である。