

ナッシュビルで結成され、ポップロックの美学を追求してきたLANYの6作目は、ドラマーのレス・プリーストが2023年の『a beautiful blur』リリース前に脱退し、ポール・クラインとジェイク・ゴスがデュオとしての蜜月期間を経て落ち着いたフェーズへと移りながら、独自の壮麗かつ率直なロマンチックサウンドの新たな側面を探った作品だ。『Soft』にはオープニングのタイトル曲「Soft」のブルー・ナイルを思わせる温かなサックスのラインや、「Know You Naked」の魅惑的で柔らかに光る華やかなサウンドといった、長年のリスナーにはおなじみの要素がふんだんに残されている。さらに今回は、ハイムやTHE 1975とコラボレートしてきたTommy Kingをプロデューサーに迎え、ポール・クラインとジェイク・ゴスの2人は、定められた枠を超えて自由に表現することを明らかに楽しんでいる。「Make Me Forget」の上昇するコード進行のシンセポップはCHVRCHESのネオンドリームを彷彿させ、「Good Parts」では1990年代R&Bの豊かさが呼び起こされる。そしてラスト曲「Last Forever」では光り輝くようなキーボードが印象的だ。「Act My Age」の中でクラインは「年相応に振る舞うには年を取り過ぎたかな?(Am I too old to act my age?)」と内省的に考え込んだりもするが、『Soft』はLANYがポップシーンの中で優雅に成熟し続けていることを確かに証明している。