カリードの音楽の旅は19歳の時にリリースした『American Teen』からスタートした。幾多の試練と苦しみを経験しながら成長する少年の姿を描き、高く評価されたそのデビューアルバムは、うそ偽りなく感情をあらわにし、青春時代のいら立ちや不安を真正面から捉え、多くのリスナーの心に響くとともに、カリードを一躍スターダムに押し上げた。21歳になってリリースした『Free Spirit』は、世間知らずなティーン時代に別れを告げて大人の階段を上り始めたカリードの心の旅ともいえる作品だった。あれから5年後、さらに大きくなって帰ってきたカリードは、3作目のスタジオアルバム『Sincere』で成長した自分の姿を見せようとしている。「自分にはあれだけの長い休養が必要だった」とカリードはApple Musicに語る。「立ち止まる必要があったんだ。復帰が怖かったというわけではなく、ここで休養しておけば、いざ復帰した時にもっとすっきりした状態で戻ってこられるだろう。最善の決断をした上で、さらに成熟し、見識を広げた状態で戻ってこられるだろうってね」 カリードはその新たな知識を『Sincere』で得意げに披露し、5年間にわたる人生経験からヒントを得て、アーティストとしてだけでなく一人の人間としても進化した姿を示している。「作品に込めた思いを凝縮したようなものにしたかったから、アルバムのタイトルを決める作業はとても大変だった」と彼は語る。「自分でも、これまでで一番自分をさらけだした作品だと思った。楽曲が頭をよぎると、『いや、やっぱりこれは手元に残しておこう』と思って1年ずっと寝かせていたから。スタジオで自分が楽曲にどれだけ影響されたか実感しているので、さらけ出されたような気分なんだ。自分の直感、心の声を信じるなら、きっと自分と同じようにリスナーの胸にも響くと思う」 カリードは収録された全16曲を通し、「It’s All Good」「Broken」「Tainted」では傷心、「Who’s There To Pick Me Up」「Decline」では孤独、そして「Adore U」「Altitude」では恋の始まりというように、プライベートな経験談を交えながら自ら学んだ教訓を語っている。だが失恋の曲ばかりではない。内省的かつ幻想的な「Ground」は、カリードが仕事に不安を覚えて幻覚剤に手を出したことを打ち明け、自分自身と向き合う一曲だ。そしてArlo Parksとのデュエット曲「Breathe」では、心の闇から解放されたいという思いがはっきりと伝わってくる。「このアルバムを聴くと、これまでの時間の経過が感じられる」と彼は言う。「それはみんなにも感じてもらえるはず」
その他のバージョン
- 2019年
- 2018年
- 2019年
- Thisizlondon & 6LACK
- Kehlani
- Bazzi
- クリス・ブラウン
- Pink Sweat$
- ブライソン・ティラー