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80’sニューウェイブの延長で鳴るギターポップや、60’sまで一気に先祖返りしたガレージロックなど、アルバムごとに作風を変えながらシーンを漂流していたプライマル・スクリームが、ついにフォーカスを絞ってたどり着いた最初の傑作。彼らをエレクトロニックミュージックへと導いたアンドリュー・ウェザオールとともに作り上げた本作は、ボビー・ギレスピーの普遍のロックンロールへの情熱と、ニヒリスティックなパンクの反逆精神、そして当時のシーンを席巻していた新たなムーブメント=アシッドハウスの奇跡的な融合の産物だった。リミックス、サンプリング、コラージュといったダンスミュージックの手法を用いてロックを再解釈した「Loaded」は、まさにその奇跡的融合を象徴するナンバーだろう。また、同時代のマッドチェスターともシンクロしたグルーヴィなサイケロックの「Slip Inside This House」や、ドラッギーなリバーブで陶酔を生み出していく「Higher Than the Sun」といった楽曲には、セカンド・サマー・オブ・ラブとも呼ばれた当時のアシッドハウス、レイブカルチャーの熱気を感じることができるはずだ。ゴスペルコーラスをフィーチャーした「Come Together」や、ザ・ローリング・ストーンズさながらのブルージーなロックンロールを聞かせる「Movin' On Up」など、その他にもアンセムが多数収録された本作はまごうことなき彼らの代表作であり、本作で示されたロックとダンスのクロスオーバーが後世に与えた影響は計り知れないものがある。