replica

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「このアルバムは、一級品のレプリカを目指してつくりました」と、Vaundyはセカンドアルバム『replica』についてApple Musicに語る。2019年、美術系の大学に在学しながらデビューし、瞬く間に日本のポップシーンの第一線に躍り出たVaundy。35曲を収録した本作には、ファーストアルバム『strobo』(2020年)以降に彼が歩んだ濃密な日々が刻まれている。「実は、僕の中でこのアルバムは卒業制作なんです」と彼は言う。「この3~4年間、ものづくりとは何だろうということを探求していたんですけど、ポップスというものは原形をたどるとすべて同じものになるのではないかと思ったんです。その原形とは人々が共通して持つ何かであり、原形が同じであるにも関わらず、つくる人によって違うものになっていくというのが、ものづくりの原点ではないかと考えました。つまり僕ら表現者はある一つの原形を基に、レプリカ(複製品)をつくっていると言える。それならば僕は一級品のレプリカをつくろうと思いました」 表現においてレプリカという言葉はネガティブに捉えられがちだが、これまで先人たちがつくってきた素晴らしいレプリカが無数に存在し、そのレプリカを愛する次の世代がまた新たなレプリカをつくり、物事はすべてそうやってつながっていくのではないかとVaundyは説く。「オリジナルはレプリカの来歴から生まれる、というのが本作の裏テーマです。レプリカの地層の上に立つと地平線が見渡せて、まるでここが唯一のオリジナルのように思えるけれど、足下の地層があるからそこにたどり付くことができる。だから僕らはこの地層の上で共存して生きていくんだし、それが正しいのかもね、ということを表題曲の『replica』で歌っています」 ポップスの美学を探究するVaundyがつくりあげた35曲の“一級品のレプリカ”。ここからは彼に、いくつかの楽曲を解説してもらおう。 美電球 歌詞はメロディの翻訳だと思っています。メロディがメロディ語を歌っていて、それを僕が日本語訳している感覚です。なので、よく見たら「なんだ、この歌詞は」と思われることもあるかもしれません。例えば、この曲の「マジ足りない」というフレーズとか(笑)。これもメロディがそう歌っていたので、そのまま翻訳しました。 1リッター分の愛をこめて 大学2年か3年の時に、「1000ミリリットルか1リットルをテーマに創作する」という課題が出て、時間もなかったので曲を書くのが一番早いと思い、ペットボトルで作った曲です。1コーラスだけ作って提出した後、2年越しに全部作るかと思って後半を書き足しました。2年経つと感覚も音の作り方も変わるので、前半と後半でかなり質感が違っています。 宮 自分で全部の楽器を演奏しています。もともと僕のデモ音源はすごくダークで、そこからサポートメンバーに演奏してもらったり、ミックスしたりして、どんどん変わっていくんです。でもこの曲は僕のスタジオで録ったそのままの素材を使っているので、デモのダークな雰囲気を残したまま、ズシッと生々しい仕上がりになりました。今まであまりなかった曲調だけど、むしろ僕の本質に近い曲です。 NEO JAPAN 今の世の中があるのは、人間たちがつくってきたレプリカの代償だと思っています。その上で、「考えるのをやめるのだけはやめようぜ」と歌っています。僕はいつも未来を感じてもらうために曲を書いているので、この曲もそう受け取ってもらえたらうれしいです。 怪獣の花唄 - replica - (スタッフに)入れてほしいと言われたので入れました(笑)。でもただ入れるのは嫌で、しっかりとオリジナルの雰囲気を残したまま『replica』というテーマを踏まえて今の僕が作るなら、というものを目指しました。歌い直してみたら、もはや別人が作った曲のようですごく大変でした。あえて新たなアレンジは加えず、「うわ、変わったな」と感じさせないように心掛けましたが、みんながどう聴いてくれるか楽しみです。 replica デヴィッド・ボウイにリスペクトを込めて書いた曲です。ボウイの「Space Oddity」は宇宙をさまよう宇宙船の飛行士に話しかける曲ですが、僕は「Space Oddity」という曲に対して話しかけています。話しかけるけど無視されていて、少し悲しげな感じもある。でもそんなものだよね、それでいいんじゃないと思うし、それはいい諦めなのかもしれないなと今の僕は思っています。自分の美学が詰まった、大きなテーマを持つ曲になりました。

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