Quartets: One–Four

映画やバレエのための音楽を多く書き、新しい時代に合わせてバッハの無伴奏チェロ組曲をリワークするなど、旺盛な音楽活動を展開するスコットランド出身の作曲家/チェリストPeter Gregsonは、クラシック業界におけるルネサンス的人物と見なされている。そんなGregsonは、本作『Quartets: One – Four』について、彼がこれまでに生み出したすべての作品の中で「最もパーソナルなプロジェクト」だと言う。二つのバイオリン、ビオラ、チェロによる典型的な弦楽四重奏のためのこれらの一連の作品は、Gregsonの音楽的イマジネーションの中の非常に私的な部分から生まれたもので、2016年に「絶え間なく続く映画音楽やゲーム音楽の作曲からしばしの間離れるために」構想された。彼は「オリエンテーションも締め切りも決め事もない、自分のための音楽を書くゆとりを確保したかったのです」とApple Musicに語る。このアルバムで使われている弦楽器は伝統的なものだが、Gregsonが「デリシャスな表現ができる手段」と呼ぶ弦楽四重奏のフォーマットに対する彼のアプローチは、旧来の常識を大胆に打ち破るものだ。『Quartets: Two』での彼は、ベーシックな弦楽四重奏のサウンドに「推進力と深みを加えるために」シンセサイザーを使用し、『Quartets: Three』ではさらに踏み込んで、Gregsonが言うところの「じっくりと焼き上げた、より繊細な」エレクトロニクスを使っている。そして彼は、すべてを生楽器で演奏している『Quartets: One』と『Quartets: Four』においても、常に新たな形と音のコンビネーションを探求しているのだ。しかしGregsonの狙いは、目新しさでリスナーの耳を引き付けることとはまったく違う。彼は「私がこれらの一連の作品のために選んだエレクトロニクスの機材、すなわち、リバーブ、ディレイ、ハーモナイザー、シンセサイザー、テープは、いずれも物理的に存在する物であり、弦楽四重奏と同じように丁寧にレコーディングされ、また、それらのすべてが同時にテープに記録されたのです」と言う。「私は、弦楽四重奏の温かみと、ともすると冷たく感じられるエレクトロニクスの世界とが共存する生き生きとした音世界、すなわち“ナチュラルエレクトロニクス”というアイデアを探求したかったのです。そして、私たちはすべてを空間オーディオでレコーディングしたので、リスナーのあなたはカルテットに囲まれているような感覚でこれらの楽曲を聴くことができ、まるで私たちがあなただけのために演奏しているようなサウンドを体験してもらえると思います」

国または地域を選択

アフリカ、中東、インド

アジア太平洋

ヨーロッパ

ラテンアメリカ、カリブ海地域

米国およびカナダ