何年もファンをやきもきさせ、新作が出るか出るかと待たせた挙げ句、イギリスのロックバンドBring Me The Horizonは2024年、前触れもなく『POST HUMAN: NeX GEn』をリリースした。2020年に『POST HUMAN: SURVIVAL HORROR』を発表し、ほぼ同じ時期にシングルカットしてから実に4年ぶりだ。ボーカルのオリヴァー・サイクス率いるバンドは、ビデオゲーム『DOOM Eternal』から着想を得た前作で、破壊と疎外感という壮大なテーマで怒りをほとばしらせたが、本作『POST HUMAN: NeX GEn』では楽観的な姿勢に喜びを見いだし、明るい未来を追い求めている。 例えば「YOUtopia」の歌詞は、こつこつ改善を積み重ね、石も積もれば山となるという内容だ。ギターのうなりと畳みかけるようなドラムをバックに、サイクスはこう歌い上げる。「君を連れていきたい場所があるんだ／自分もまだたどり着けたわけじゃないけど／少しずつマシになっている／いまだに自分が嫌になる日もあるけど（There's a place I wanna take you/But I'm not quite there myself yet/I'm getting better, but there's still days/Where I wish that I was someone else）」 。今も疑念は残り、憂鬱さが影を落としているが、明るい未来がすぐ目の前に広がっている。