世界的バイオリニスト、アンジェル・ダオーによる現代音楽への絶え間ないサポートを凝縮した連作『Portrait』は、2008年にフィリップ・グラスを取り上げたアルバムでスタートした。そして、ポール・マッカートニーが設立したリヴァプール・インスティテュート・フォー・パフォーミング・アーツの卒業生であるアレックス・バラノフスキの楽曲をフィーチャーした本作が、その第6弾となる。「Wiosna(春)」の委嘱に端を発したこのアルバムは、ダオーと彼女が率いる俊英弦楽アンサンブル、La Pietàのために作曲あるいは編曲された15曲からなる作品に結実した。バラノフスキの音楽は、親しみやすく魅力的で、時に遊び心を感じさせ、瞑想的な美しい響きでリスナーの心に深く染み入る。そしてダオーによる空に紡ぎ上げた金糸の織物をイメージさせるような質感のバイオリンと彩なすハーモニーを見事に描き出すアンサンブルの演奏も、息をのむほどに美しい。
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