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1980年当時スマッシュヒットを記録し、バンドの代名詞となった"トランジスタ・ラジオ"を収録した通算5作目のアルバム。今作の誕生によって、彼らは音楽ファンにとっておなじみの存在となった。上昇気流に乗ったストレートなロックナンバーが並び、疾走感あふれる"ダーリン・ミシン"、どうしようもない自分をカラっとした歌と演奏で嘆くソウルバラード"いい事ばかりはありゃしない"など、以前から演奏されていた楽曲もフレッシュに響きわたっている。オーティス・レディングへのリスペクトが感じられる"Sweet Soul Music"では忌野清志郎らしさが全開。発売当初から録音状態の迫力不足が指摘されてきたアルバムではあるものの、むしろその音の端々にこそ、当時のバンドの繊細な感情が漂う瞬間が感じられる。