低空を這うビートが生み出すうねりのあるグルーブ感、聴く者の覚醒を促すミニマルな反復フレーズとその残響音。東京在住のクリエイター FOOG の1stアルバムである本作「One」には、目を閉じればクラブの光景が浮かんでくるような、まぎれもない現場仕様のダンス・トラックが収められている。だが、この作品について特筆すべきは、1stアルバムながらも貫禄を感じさせるような非常に高い完成度だ。各トラックともに派手なブレイクやラジオ・フレンドリーなメロディを排しているにもかかわらず、一聴して耳と身体を離さないキャッチーさを持った全8曲。コズミックでトランシーな意匠をところどころに施しながらも、あくまで渋くキメるストイックな姿勢。そして、それを支える高度な技術と音選び/音作りのセンスは、一度聴けば疑いようのない信頼度に満ちている。全体の雰囲気を表すには Ame のクラブ・アンセム"Rej"を想起させる暗黒感や、じわじわと来る覚醒感といったタームがうってつけと言える、闇が似合うアルバムだ。聴く者の無駄な思考を排除するほど研ぎすまされている。
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