OK Human

OK Human

「この日が来ることは分かっていた」とウィーザーのフロントマン、リヴァース・クオモはApple Musicに語る。「昔からクラシック音楽とオペラの大ファンだったんだ。それだけに、遅過ぎたように感じている。僕はただ、『いいか、自分たちはロックバンドで、これが僕らの活動なんだ。そんなに急いで丸くなるもんか』という思考パターンにとらわれていた。でも、ジェイク(プロデューサーのJake Sinclair)に勇気づけられて、『すごくいい作品になりそう!』ってひらめいたんだ」。昨年リリースが延期となったド派手なロックアルバム『Van Weezer』の代わりに、ウィーザーが着手したのがこの『OK Human』だった。これまでとは雰囲気の違う本アルバムでは、38人編成のオーケストラをフィーチャーしており、コンピューターだけでなく、驚くべきことにエレキギターさえも使用していない。このようなトーンの変化は、パンデミックがもたらす憂鬱感にも相通ずるものがあり、時代を覆う閉塞感が、クオモの歌詞のインスピレーションになったようだ。「我が家を見渡すと、とても不安になるんだ。一人の子はあのデバイスを使っていて、もう一人の子は別のデバイスを使っていて、妻は向こうでまた別のデバイスを使っている」と彼は語る。「みんなが異なる方を向いて、異なるデバイスを見ているんだ。それが現状だよ。僕にはどうすることもできないけれど、喪失感と不安を感じずにはいられない」 彼のそういった憂いは、「All My Favorite Songs」や「Playing My Piano」「Screens」など、雰囲気はそれぞれ違いながらも、楽曲の重要なテーマとして映し出されている。一方で、広がりのあるオーケストレーションが印象的な「Numbers」や「Bird With a Broken Wing」などは、クオモが自身の至らない点を見つめるかのような楽曲だ。「自分が的外れで、賞味期限切れで、全盛期が過ぎてしまったように感じていた」と現在50歳の彼は語る。「自分自身をかなり哀れに思っていたんだ」。とはいえ、重苦しい空気だけがアルバムに漂っているわけではない。意気揚々とした「Here Comes the Rain」や甘美なラスト曲「La Brea Tar Pits」では、楽観的な視点も描かれている。「オーケストラの演奏による本作を初めて聴き返した時、ああ、あれはやっぱり僕が書いたコードだ、僕が書いたメロディだと思った」とクオモは語る。「でもね、同時にまるで何か初めて3次元で見るような感じだったんだ。とにかくゴージャスで。これまでにやったことがなかったなんて、信じられないよ」

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