凡才

凡才

「特別な才能があったり楽器をうまく弾けたりするわけじゃない僕が、凡才なりのやり方で工夫した楽曲が詰まったアルバムです」と、imaseはファーストアルバム『凡才』についてApple Musicに語る。2021年、20歳の時に動画投稿サイトにDTMで制作したショート尺の自作曲をアップしたことから、アーティストimaseの物語は始まった。その才能を見いだしたレコード会社からすぐにオファーがかかり同年12月にメジャーデビュー、2022年にリリースした「NIGHT DANCER」が日本のみならず海外でもバイラルヒットするなど、驚くようなサクセスストーリーを繰り広げたが、それは本人にとって予想だにしないことだったという。「岐阜の田舎の方に住んでいたので、SNSでものすごい数の『いいね』をもらっても最初は現実感がなさすぎました。音楽経験が浅い分、かなり不安にもなっていました」。アルバムのオープニングを飾る「BONSAI」は戸惑いや不安も含め、自分自身のことを赤裸裸に描いた曲。「歩こうよ “らしさ” のAbbey Road」というフレーズに2024年現在の思いを込めた。「ビートルズ『Abbey Road』のジャケットは、もともとエベレストで撮る予定だったけど、それよりその辺の道で撮った方が自分たちらしいんじゃないかということで、あの歩道を渡る写真になったそうです。そのエピソードを知った時、等身大で曲を作るのはすごく大切なことなんだなと思いました。僕も3年間やってきて、その時の自分にしか作れない曲というのは確かにあると思うから」 3年のうちに楽曲を次々と手掛け、多くのアレンジャーや演奏家と出会ってたくさんの刺激を受け、「かなり成長できたと思う」と語るimase。アルバムの最後には、その起点となった2021年のデビュー曲「Have a nice day」が収録された。「この曲が、自分が音楽を続けてきた一つの理由にもなっています。コロナ禍のネガティブなムードの中で制作したけど、あのタイミングでこの曲を作れてよかったと思うし、当時の空気感も感じられる。この曲をはじめ3年間で作った19曲をまとめることによって、『あんな時期もあったな』と思い返せるものになったと思います」。ここからは彼に、いくつかの楽曲を解説してもらおう。 NIGHT DANCER 地元の岐阜でドライブしながら、鼻歌でメロディを考えました。最初は「とってもいいような 夜だけど」という歌詞で作っていたけど、濁音を付けたら印象に残りやすいかなと思って「どうでもいいような 夜だけど」にしたら、ちょっと違和感が出て面白くなりました。歌詞は連想ゲームのように書くことが多くて、“どうでもいいような夜”と言えば“ありふれた日常”、“ありふれた日常”と言えば...という感じでどんどん広げていきました。 Rainy Driver ジャージークラブのリズムから作りました。リズムを立たせることはすごく意識していて、アレンジャーさんと相談しながら、ドラムやベースの音をちゃんと引き立てて、その上に歌声を乗せて、体が揺れるようなサウンドにしたいと思っています。この曲は音数が少なくシンプルな構成なので、一つ一つの音色をより鮮明に感じられる空間オーディオでぜひ楽しんでいただきたいです。 18 コロナ禍の時に18歳だった方たちに向けて作った曲です。僕自身はぎりぎり高校時代はコロナに直面しなかったけど、コロナ禍でやりたいことができなかった世代の思いをイメージして書きました。 LIT CMのタイアップ曲として、“新しい自分に出会おう”をテーマにした曲。僕はロックで育ってきたタイプではないのですが、自分も楽曲的に新しいことをやろうと思って、ギターリフで始まるロックに挑戦しました。それがタイアップの面白さで、お題をもらうことで新たなジャンルやテーマに触れ、自分にはなかったアイデアやボキャブラリーが増える感覚がある。この曲を作る中でも、自分がロックをやっても楽しいんだなとか、意外と自分の歌声にも合うんだなとか、たくさんの発見がありました。 I say bye 東京に住み始めた主人公の寂しさを歌っています。この曲を書いたのは僕が上京する前で、まだ実家の岐阜に住んでいたので、実際には全然「東京 lonely night」をしていなかったのですが(笑)。歌詞はそんなふうに想像や妄想で書くことが多いです。思い返せば僕は小学生の頃から、授業中に急に何者かが突撃してきて、そこから逃げ出して…みたいなストーリーをよく考えていました。それが今の制作につながっているのかもしれません。

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