Neos

Neos

「タイトルの『Neos』(ネオス)はギリシャ語で“新しい“という意味です」。新星フルート奏者Cocomiは、自身のサードアルバム『Neos』について、Apple Music Classicalに語る。「私自身、新たにジャズに挑戦していたり、ニコライ・カプースチンはクラシック音楽にジャズを取り入れていたり、萩森英明さんがこのアルバムのために新しく編曲してくださったり。なので、タイトルを『Neos』にしました」。異質なものが出会う場所では、いつも新鮮で魅力的な何かが生まれる。ジャズが20世紀の初頭に発祥の地アメリカで広がりを見せると、ヨーロッパのクラシック音楽家たちもこの新しいサウンドに注目するようになる。一方、ジャズミュージシャンたちの中にもクラシック音楽に憧れを抱く者がいた。そうして作り出された両者のエッセンスを融合した音楽は、それまでにはない魅力を放った。本アルバムは、音楽史におけるそのようなクラシックとジャズとの幸福な出会いの延長線上にある作品だ。 本作には、ジャズにインスパイアされたクラシック作曲家たちの作品と、クラシカルにアレンジされたジャズのスタンダードナンバーが収録されていて、Cocomiはこれらの楽曲を日本の新進気鋭の演奏家たちと共に、軽やかに、楽しげに奏でている。ウクライナ出身の作曲家ニコライ・カプースチンが1998年に書いた『トリオ Op.86』は、クラシカルな室内楽曲にジャズのイディオムを大胆に取り入れた作品であり、Cocomi、チェロの佐藤晴真、そしてピアノの山中惇史によって演奏されている。「元々本当によく聴いていて好きな曲でした。また、共演者のお二人と演奏するのが楽しいだろうなと、想像を膨らませていました」 続く「ライク・サムワン・イン・ラヴ」「レッツ・フォール・イン・ラヴ」「テイク・ファイヴ」の3曲は、広く親しまれているジャズの名曲を作編曲家の萩森英明が新たにアレンジしたもので、いずれもCocomiと山中惇史のデュオによる演奏で楽しめる。「最初の2曲は、自分が普段よく歌う曲です。どちらのタイトルにも“ラヴ”が入っています。『テイク・ファイヴ』は、“ジャズといえばこの曲”というくらい、誰もが知っている曲。萩森英明さんの編曲でどう変わるか、とてもわくわくしました」 そして最後の『ソナタ H. 254』は、チェコ出身の多作で多彩な作曲家、ボフスラフ・マルティヌーが1937年に書いた遊び心あふれる室内楽曲で、Cocomiとヴァイオリンの東 亮汰、そしてピアノの山中惇史のトリオで奏でられている。「学校で演奏したことがある曲です。マルティヌーのリズムの遊び方がとても愉快で、演奏していて楽しいと感じていました」と、このレコーディングに選んだ理由を教えてくれた。 クラシック界の新旗手たちと共に、表情豊かな5つの器楽曲を紡いだ本作。今回共演したアーティストについて、彼女は「色んな演奏を聴いて、“一緒に演奏したら楽しそう、面白そう”と強く思った方々。実際、リハーサルも本番も本当に楽しく、ディスカッションも楽しかったです。とても勉強になりました」と振り返る。「クラシックは堅苦しいというイメージが強いですが、違う一面を見ていただけたらうれしいです」