Mr. Morale & The Big Steppers

Mr. Morale & The Big Steppers

ケンドリック・ラマーがBaby Keemの『The Melodic Blue』収録の2曲(「range brothers」と「family ties」)に登場した時は、まるでヒップホップの預言者が経典を授けるために山から下りてきたかのようだった。彼のバースは確かに見事だったが、最後に彼の声を聴いてからあまりに時間が経ち過ぎていたようにも感じられた。2018年に『ブラックパンサー』のコンピレーション/サウンドトラックを指揮していたものの、正式なリリース作品は2017年の『DAMN.』以降途絶えていたからだ。ヒップホップ界においてこれほど長い沈黙は、ラマーのような人気アーティストをますます神格化することになる。しかし、コンプトン出身のMCである彼が5作目の正式なアルバム『Mr. Morale & The Big Steppers』を通して伝えようとしているのは、彼もまた人間に過ぎないという事実だ。 この作品は9曲ずつに分けられた2部構成になっており、そのすべての楽曲を通してラマーの進化し続ける世界観が浮き彫りになっていく。ラマーの主張の中心にあるのはアカウンタビリティ(説明責任)だ。彼は自身の欠点を事細かに並べ立て、金銭(「United In Grief」)や白人女性(「Worldwide Steppers」)や父親(「Father Time」)との関係、忠誠心の限界(「Rich Spirit」)、異性間の恋愛における愛の概念(「We Cry Together」「Purple Hearts」)、モチベーション(「Count Me Out」)、責任(「Crown」)、ジェンダー(「Auntie Diaries」)、そして世代のトラウマ(「Mother I Sober」)を分析してみせる。このアルバムは濃厚で、聴き手にとって重くもある。しかし、ケンドリック・ラマーが私たちと同じ人間であるのと同じくらい確かなのは、彼がピューリッツァー賞を受賞した、今を生きる最も思慮深いMCの一人であり、そして『Mr. Morale & The Big Steppers』全体を通じた彼の率直さが、私たちが自分自身のあり方を理解する手助けになり得るということだ。

ディスク1

ディスク2

国または地域を選択

アフリカ、中東、インド

アジア太平洋

ヨーロッパ

ラテンアメリカ、カリブ海地域

米国およびカナダ