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同郷のミナス出身の音楽家たちとのコラボレーションから生まれた前作「Clube Da Esquina」を経て、ロックもジャズもより奔放かつ壮大にのみ込んだ境地から、さらなる飛躍を遂げた1973年発表作。森羅万象を表現したような打楽器とヴォイスで強烈な存在感を放つナナ・バスコンセロス、オルガンやピアノを自在に駆使しながらアンサンブルの中核を担う同郷のヴァグネル・チゾ、サックス奏者のパウロ・モーラら、ブラジル音楽界きっての鬼才たちが一同に会した。カオス寸前で踏みとどまりながらスピリチュアルなグルーヴを放つ音はフリーキーだが、Miltonの歌声やメロディの美しさを最大限に引き立てている。ジャンルを超越した雄大な音楽性を示した1970年代前半の傑作群の中でも、とりわけスリリングな名作だ。