音楽的なレンジの広範さによって、さらに独自のサウンドを展開した通算8作目のフルアルバム。ハード&ブルージーだった前作『The 7th Blues』からの流れもくみながら、デジタルと生音との融合が積極的に試みられている。その筆頭が大ヒットシングル「LOVE PHANTOM」で、元はライブツアーの演出用に書かれた楽曲ながらB'zを代表する一曲として広く愛されるほどになったのは、彼らが当時のデジタルロックを独自に解釈するほどの懐の大きさがあったからだろう。「ねがい」はシングルよりギターが強調されたバージョンを、ポップな「love me, I love you」はベースを生演奏したテイクを収録するなど、バンド的な感触も健在。そもそもアルバムタイトルの『LOOSE』は自由に取り組んだ作品だからという意味合いで、この中の数曲がハワイでのリラックスしたセッションから生まれたという背景も関係しているようだ。稲葉浩志が家庭教師のバイトの経験を歌詞に仕上げた「ザ・ルーズ」や、ピアノと弦の響きが印象深いバラードの「消えない虹」にも、そのリラックスした空気が見え隠れしている。