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「人生の後半において自分が音楽に対してどのようにアプローチしたいのかということを自問しています」とステファン・モッキオは言う。彼はこのアルバムを、騒がしい都会を離れた南フランスに建つ古城の敷地内に作られたスタジオで制作した。周囲にブドウ畑が広がるスタジオの穏やかな環境は、音楽とワインと建築物をこよなく愛する彼にとって非常にリラックスできるものであり、じっくり自分と向き合うために最適のものだったようだ。モッキオはポップ界で大きな成功を手にしてきた作編曲家である一方、クラシック音楽の高い素養を生かした優美なピアノ曲でもリスナーを魅了している。本作は彼の地で26日間を過ごしながら作曲しレコーディングした、ソロピアノのための作品を収録したもの。楽曲はいずれも内省的な雰囲気を持っており、タイトルに込められた意味を想像しながら音楽を聴くことで、リスナーは自身の解釈と共に深い瞑想(めいそう)にふけることができる。例えば冒頭の「Home」では安堵(あんど)感に包まれ、「The Wanderer」においては答えを見つけられずにさまよっている魂に寄り添う優しさを感じ取れるかもしれない。