

1990年前後からロンドンを中心に世界を席巻したアシッド・ジャズ・シーン。その動きは世界中に伝播し、さまざまなジャンルの音楽とつながり、形を変えながら発展していった。その1つに “クロスオーバー” と呼ばれるジャンルがあるが、Jazzanova はその代表格であり、本作は彼らの1stアルバムである。1990年代後半、ドイツの名門レーベル Compost の傘下に Jazzanova Compost というレーベルを立ち上げいくつかのEPを発表し、名声を築き上げたところで満を持してのリリースとなった(現在は Sonar Kollektiv からのリリースとなっている)。そのサウンド・スタイルはまさしくクロスオーバーと呼ぶにふさわしいもの。エレクトロニクスと生楽器、新しいものと古いもの、西洋と東洋、高揚と抑制といった相反する要素が混在し、さらにそれらが横軸でも絡み合っていく。つかみどころがないようでいて、実は強烈な個性を持っており、聴くうちにその世界へ引き込まれていく感覚が心地いい。他アーティストとのコラボレーションも積極的に行っていることが、より一層、本作の幅を広げているのだろう。