HAYATOSM

HAYATOSM

過去の名曲を現代に息づく音楽として表現する優れたクラシックピアニストとしてのみならず、作曲家/編曲家としての大いなる可能性をも示した作品だ。角野隼斗は、この初めてのフルアルバムを制作するに当たり、音楽史に名を残してきたピアニスト兼作曲家、例えばリストがリサイタルでそうしていたように、オリジナル曲と他者の作品を自身がアレンジした楽曲などを織り交ぜたプログラムを組んだ。アルバムの幕開けを飾る自作曲『ピアノソナタ 第0番「奏鳴」』は、冒頭部分でラフマニノフを思わせながら多彩な展開を見せ、その中で新味とオリジナリティを輝かせている。同じく自身の手による2曲目の「ティンカーランド」は、角野がCateen(かてぃん)名義で行う、動画サイトで披露するパフォーマンスでも見られるような遊び心にあふれた楽曲であり、彼はここでグランドピアノに加えてトイピアノと鍵盤ハーモニカを演奏している。その後、ショパンやリストの作品、そして、それらを角野が編曲したものが続いていくのだが、ショパンの「子犬のワルツ」の後には、この名曲へのアンサーソングとも言うべきオリジナル曲「大猫のワルツ」を置くといったウィットも効いている。全12曲、1時間7分の演奏時間をあっという間に感じさせる快作。

国または地域を選択

アフリカ、中東、インド

アジア太平洋

ヨーロッパ

ラテンアメリカ、カリブ海地域

米国およびカナダ