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2016年のデビューアルバム『Cloud Nine』が、当時最先端のトレンドだったトロピカルハウスの代表作として大きくフィーチャーされたKygo。そんな彼の3年ぶりの3作目となる本アルバムは、トロピカルハウスのキングの名にふさわしい強力なアンセムぞろいだ。中でもワンリパブリックとのタッグを組み、推進力に満ちたコーラスによりキャッチーな歌モノとして仕上がった「Lose Somebody」や、2012年に亡くなったホイットニー・ヒューストンのパワフルな歌声をよみがえらせた「Higher Love」など、トロピカルハウス特有のメロウネスの中に熱いパッションや真っすぐなメロディを宿したナンバーが際立っている。本作がリリースされた2020年は、新型コロナウィルスの感染拡大によって例年と全く違う年になってしまったが、浜辺のパーティの多幸感も、クラブの熱狂も、火照った身体を揺らし合うダンスフェスやレイブの一体感も失われたあの夏に、それでもひとときの興奮をもたらしてくれたアルバムが、この『Golden Hour』だ。