悲しいカントリーソングに勝るものはない。特にParker McCollumの場合は、なおさらだ。テキサス州オースティンを拠点に活動する新進気鋭のカントリーシンガーソングライターである彼は、2017年の失恋バラード「Hell of a Year」のような涙を誘う曲を書くことに長けている。メジャーデビューアルバムとなるこの『Gold Chain Cowboy』にも、ヒットシングル「Pretty Heart」のような泣ける曲が収録されているが、彼はその一方で、スイートなオープニングトラック「Wait Outside」や、ポップでメロディックな「To Be Loved By You」のような曲で、ちょっとした遊び心も発揮している。「このアルバムには、心を引き裂くような曲が入っているんだ」とMcCollumはApple Musicに語る。「それに加えて、今回初めていつものように、悲しくスローなカントリーソングとは違う曲を作ってみたら、とても楽しかった」。ここではMcCollumがApple Musicのために、『Gold Chain Cowboy』に収録されたいくつかの曲を解説してくれた。 Wait Outside あのコーラス部分は、確か4、5年前に書いた。僕はプロデューサーのJon Randallと昔のマネージャーのRandy Rogers（ランディー・ロジャース・バンドのメンバー）といて、一緒に曲を書こうとしていた。僕が「コーラスは浮かんでいて、まあまあの出来だよ。それがずっと僕の頭から離れないんだ」と言ったら、それ以上何も言わなくても、彼らは僕の考えをわかってくれた。そして、僕らはこの曲を45分くらいで書いたんだ。 To Be Loved By You これはアルバムの中で一番好きな曲だと思う。今はフィアンセのHallie Rayと僕は、当時微妙な状況にあった。ある日、ツアーバスに乗っている時に、グッズ担当のレーンに大声で言ったんだ。「ねえ、男は何をすればあの娘に愛してもらえるんだろう？」って。すると彼が、「それ、書き留めておくべきだよ」って。そこで僕らは後ろの席にギターを持ち込み、文字通りフリースタイルで最初のバースを演奏したら、サビが飛び出してきた。あの時に出来たものが、そのままアルバムに収録されている。 Drinkin’ 2018年に無我夢中でツアーをやってたころの、夏の夜だった。僕は昔付き合っていた女性と、くっついたり離れたりという状況だった。そして、自分の活動や追い求めている夢に専念するために、彼女とは別れてしまった。レコード契約を獲得して曲を書きまくっていた僕は、ある夜、遅くまでまさに深夜まで起きていて、悲しいカントリーソングを書くという、無茶なことをやっていた。そのときに、今のライフスタイルや、ツアーバスでツアーに出てること、チケットをたくさん売ってること、成功や手に入れた欲しいものなどについて考えていたよ。でも、あの女性は他の誰かと付き合っていたんだ、との思いで曲を書いていたら、「Drinkin’」が出来たんだ。 Rest of My Life あのころは新型コロナウイルスが始まったばかりで、世の中はシャットダウンされていて、誰もどこにも行けない状態だった。僕はやるべきじゃないことばかりして、徹夜してはめちゃくちゃやって、悲しいカントリーソングを書こうとしてた。何度もやってきたことだけど。一晩中、頭の中でこのメロディを口ずさんで、それから眠って、翌朝起きて家でのんびりって感じで。確かメロディを携帯に録音して、Bluetoothスピーカーで流したんだ。シャワーを浴びながらこのメロディを聴いた時、「これだ」と思った。そこでシャワーから出て、この曲を10分か15分で書いて、ハーモニカのパートを加えた。それからまたシャワーに戻って一日を過ごしたよ。 Pretty Heart この曲は文字通り、僕の人生を変えてしまった。ナンバーワンになってから、ゴールド、プラチナに認定されて、と良いことがたくさんあった。この曲のアイデアは2014年から浮かんでいたもので、ナッシュビルで初めて共同制作した曲の一つなんだ。今では良い友人でもあるRandy Montanaと一緒に作曲していたんだけど、自分が夢中になれるようなアイデアは全然なかった。できる限り正直で純粋なストーリーをメモしてたのに、気に入らなかったことを覚えている。それからスタジオ入りしてレコーディングしていたら、「思った以上にずっと良い曲だ」と感じた。それからレーベルに背中を押されてレコーディングしたんだ。彼らにデモを聴きたいと言われなければ、この曲は出していなかった。実際に今聴ける曲がそのデモだと思うよ。レコード契約を結んで、最初に出た曲が1位を獲得するなんて、素晴らしいことだよね。