For Clara: Works by Schumann & Brahms

For Clara: Works by Schumann & Brahms

フランスを代表する名ピアニストの一人であるエレーヌ・グリモーは、ドイツ・ロマン派の作曲家たちによる楽曲について、“作曲家の意図を自身が表現できる音楽”と捉えているという。それは、本作『For Clara』にもはっきりと表れている。1853年、シューマン夫妻は当時まだ20歳だったブラームスと知り合い、この若き作曲家の類いまれな才能を見抜いて、彼の活動を後押しした。夫妻とブラームスの親交は深まり、クララとブラームスの友情は、1856年にロベルトが亡くなった後も、クララが1896年にこの世を去るまで続いていった(ブラームスが亡くなったのはその翌年の1897年)。このアルバムに収録されている楽曲は、ロベルトとブラームスが、それぞれにクララとの関わりの中から生み出したものだ。結婚の2年前だった1838年の春、『Kreisleriana(クライスレリアーナ)』を作曲中だったロベルトは、この作品の中心にクララの存在があることを彼女に伝えている。グリモーにとってこのピアノ曲集は、これまでの人生の大半を共に過ごしてきた作品であり、過去に一度録音もしている重要なレパートリーだ。ブラームスが『Intermezzi Op. 117(3つの間奏曲)』を書いたのは晩年の1892年だったが、彼はこの時も先輩作曲家/ピアニストであるクララに助言を求めている。同じくブラームスによる『Lieder und Gesänge Op. 32(9つのリートと歌)』は、一つ一つの曲が、ブラームスがクララに対して抱いていたさまざまな思いを映し出したものともいわれる。ここでは、グリモーがヴァレンティン・シルヴェストロフの歌曲を集めたアルバム『Silent Songs』(2023年)でも共演したバリトンのコンスタンティン・クリメルを再びパートナーとして迎え、奥行きのある表現を披露している。

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