Encounter

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ピアニストのIgor Levitが、コロナ禍によるロックダウン期間中に約50日間にわたって自宅から行ったオンラインコンサートは、多くのリスナーに安らぎを届けた。このアルバムは、世界がかつてないほど引き裂かれた時代において、絆の大切さを伝えるプログラムとなっている。バッハとブラームスによるオルガンのためのコラール前奏曲は、もともと大きな教会での礼拝のために書かれた名作だが、ブゾーニによるピアノ独奏のための編曲版によって、宗教とは関係なく、人それぞれの祈りを促すものとなった。そこでは、ヒューマニティとスピリチュアリティが一体となり、たとえ演奏家が孤独の中にいたとしても、その思いは音楽に乗って軽々と壁を越え、多くの人々に伝わっていく。礼拝のための音楽から離れ、ブラームスによって書かれた嘆きの歌曲で、レーガーがピアノ独奏向けに編曲した『Vier ernste Gesänge』は、彼が思いを寄せていたクララ・シューマンが亡くなり、自身の死が近いことも予感していた時期に書かれたもので、おそらくブラームスの楽曲の中で最も悲しく、かつ甘美な作品といえるだろう。そして、レーガーの「Nachtlied」とMorton Feldmanによる「Palais de Mari」の、完璧なまでに不純物が取り除かれた美しさが訪れるとともに、この静謐(せいひつ)で繊細な音楽の旅は終着点にたどり着く。

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