

2022年の『Dragon New Warm Mountain I Believe In You』で見せたスタイルの広がりを経て、Big Thiefの6作目のアルバムはその個性的なサウンドが心の奥へと潜り込むような、内省的な響きを持つ作品となった。本作はマックス・オレアルチック(B)が脱退し、トリオ体制となって初のアルバムとなる。その結果として生まれた9曲は、柔らかく温かい音像の中に感情の震えが電流のように流れ、ほころびの中に潜む親密さをそっと描く。メロディの展開や楽器編成の変化は、まるで肺が空気を吸って吐くような躍動感を与えている。 「Words」では地鳴りのように響くドラムとジャキジャキと刻むギターのストロークが果てしなく続き、「No Fear」では約7分間にわたって、ゴシック的な漆黒のギターラインがエイドリアン・レンカー(Vo/G)の痛みを抱えた歌声を包み込む。Big Thiefの作品の中でも本作はロックを軸に据え、とりわけその本質を体現している。アンビエント界のレジェンド、Laraajiが呪文のような歌を唱える「Grandmother」でさえ、1970年代のローレル・キャニオン・シーンを彷彿させる高揚感と華やかさを漂わせる。野性的で血がたぎるような熱量を帯びたアルバム『Double Infinity』は、進化の歩みを止めることなく、独自のサウンドを磨き続けるバンドの姿を映し出す。