Classical Session: Mao Fujita

Classical Session: Mao Fujita

「私たちピアニストにとって、ショパンという作曲家の作品がとても重要なレパートリーとなっていることは間違いありません」。10代の半ばでレコーディングのキャリアをスタートし、20歳前後には権威あるピアノコンクールで優秀な成績を収めて(2017年のクララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝、2019年のチャイコフスキー国際コンクールで第2位) 大きく注目を集めた藤田真央。以後、世界的なピアニストとして活躍を続けている彼が今回、Apple Music Classicalの『Classical Session』で演奏する曲について語る。 「ショパンの作品の中でも特段に有名な『英雄ポロネーズ(Polonaise in A-Flat Major, Op. 53 "Heroic")』を選んだのは、曲に対する新しい発見というものを伝えたかったからです。慣例的に弾かれている曲ですので、ここはこうやってブレスを取り、ここはこのリズムだからこうやって弾く。それを成した上で、美しい場面というのがあるのです」。その場面について、藤田はさらに詳しく説明する。「この曲はロンド形式で書かれているからABACA。このCがとても美しい。A、B、またAに戻って、ここまでは舞曲の要素がずっとあります。その後の、ショパンらしいメランコリーな部分です」。そうしたディテールが詰まっているところがこの曲の魅力と、彼は語る。「あとは私が録音したことがなかったので、やってみたかったということですね」 もう1曲は今回が世界初録音となった野平一郎による「舞踏会にて(Estampes: Au bal)」だ。藤田がこの曲に出会ったのは7歳か8歳の頃で、コンクールの課題曲だった。最近になって楽曲の楽譜をもう一度見る機会があり、自分で弾いてみたと藤田は言う。「本当に素晴らしい構成とハーモニーでできていて、すぐにとりこになりました。フランス的な和音ですよね。構造的に見ても、最初は古典派にも見られる4小節で一つというものになっているのですが、その後に5小節単位になって、あっと思わせる。そして、最初に休符を置くことで拍を分からなくして、ようやく拍が生きてきたところで拍に焦点を当てることで、そこがクライマックスであることを示しています。すさまじい曲だと思います。1分半くらいなのですけれども、本当に中身が詰まった曲です」。また、この曲をこのセッションに選んだ理由についても説明してくれた。「ショパンの作品は主にサロンで弾かれたということが知られていますが、野平先生の『舞踏会にて』を組み合わせたのは、この作品がとてもサロン的な響きを持っているからです。こういうものを組み合わせると、現代のフランス的なものの香りと、ショパンの生きた当時とを対比させることができるのではと思いました」

国または地域を選択

アフリカ、中東、インド

アジア太平洋

ヨーロッパ

ラテンアメリカ、カリブ海地域

米国およびカナダ