BRAT

BRAT

チャーリー・エックス・シー・エックスが、アルバム『BRAT』を引っさげて開催したDJナイトを『PARTYGIRL』と名付けたことは、決して驚くべきことではない。いずれにせよ、それは彼女のブランドのようなものだが、イギリスのポップスターは6作目のスタジオアルバムで、時に甘くて、時にくだらない、それでいて魅惑的なクラブの華やかさを大いに楽しんでいる。『BRAT』は活気にあふれて汗ばむダンスフロアと、口の奥に残るような甘すぎるアルコール飲料がもたらす喜びを生き生きと表現した作品で、そこには変わりやすさ、可能性、そして、自信に満ちた虚栄心がはじけている。「私は常に運命の人なの(I’ll always be the one)」と、彼女はA. G. CookとCirkutがプロデュースしたオープニングトラック「360」で心地よくあざ笑う。 もちろん、チャーリー・エックス・シー・エックス(本名:Charlotte Aitchison)は、自己愛あふれるクラブバンガーの数々と痛烈な内省を反映した楽曲の両方を提供することに何度も喜びを感じてきた。ポップガールでありながら、しばしば私的な2022年のコンセプトアルバム『CRASH』の前に、日記的なアプローチを採用した優れたロックダウンアルバム『how i’m feeling now』があったように。しかし今作では、快楽主義の酩酊(めいてい)の香りに対する率直さの中にも、特に思わせぶりな何かが光る。彼女は確かにネット上のクールな仲間たちと騒がしい時間を過ごしているのだが、今作において夜遊びとはパーティーのさなかに訪れるかもしれない内省や、翌朝のどうしようもない恐怖も意味するようだ。 例えば「So I」では、友人でミュージシャン仲間だった、あの素晴らしいソフィーを懐かしみ、詩の中で今は亡き彼女の2017年の曲「It’s Okay To Cry」に触れている。チャーリー・エックス・シー・エックスは常にソフィーによって形作られ、インスパイアされてきた。『BRAT』では全体を通して、そのボーカルやテクスチャーの多くに、彼女の先駆的なサウンドからの影響が感じられる。他の曲では、新しい女友達とのつながりが愛なのか嫉妬なのかを鋭く見極めようとしており、まるでアフィのような「Girl, so confusing」では、大胆にも“ガールズ・ガール”のフェミニズムの無意味さを批判する。「I might say something stupid」では、パーティーで恥ずかしいことをしたのではないかと心配し、「Rewind」では、自分がイメージや名声をこんなに気にしなければいいのにと願う。そして、「I think about it all the time」の甘い歌詞の中で、子どもが欲しいかどうか率直に悩んでいる。つまり、これは盛大で威勢のいいパーティーミュージックだが、その根底には常に誠実さとハートが流れているのだ。  チャーリー・エックス・シー・エックスは、メジャーレーベルと契約してから今作に至るまでの数年間、アルバムとシングルをコンスタントにリリースしてきたにもかかわらず、長い間、ある種のアンダーグラウンドのマイナーアーティストとして枠付けられてきた。『BRAT』時代のチャーリー・エックス・シー・エックスは、たとえ元気いっぱいで自分に夢中でも、悲しくて内省的でも、彼女らしい道を進みながら、生命力にあふれていることを思い出させてくれる。あるいは「Von dutch」で歌っているように、「カルトクラシックだけど、私は今でもポップ(Cult classic, but I still pop)」なのだ。

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