研ぎ澄まされたポップなセンスと表現力の広がりを強烈に印象付けた、2006年リリースのリアーナのセカンドアルバム。イギリスのシンセポップユニットであるソフト・セルが1981年にヒットさせた「Tainted Love」を大胆にサンプリングして、2000年代ならではのエレクトロニックポップに仕上げた全米ナンバー1ヒットの「S.O.S.」や、Ne-YoとSTARGATEの手による美しいバラードの「Unfaithful」といった楽曲が収録されている。このことからも分かる通り、リアーナは前作『Music of the Sun』以上に多彩なサウンドを取り入れ、アーティストとしての表現力をスケールアップさせている。前作と同様にダンスホールレゲエやカリビアンミュージックを軸にしつつ、バルバドスからアメリカに拠点を移した後に受けたさまざまな音楽的刺激を反映しながら、決して背伸びしすぎることなく自らの表現にポップに落とし込む手腕とセンスは見事で、デビューアルバムから約9か月という短いインターバルでリリースされた18歳のアーティストのアルバムとは思えない仕上がりに。改めてアーティスティックなポテンシャルの高さをシーンに見せつけた力作だ。