

syrup16g初のフルアルバムにして、ダウナーなギターロックが轟(とどろ)くこの名作は、グランジやシューゲイザーなどオルタナティブなサウンドを軸にしているが、特筆すべきは、沈みがちな心情や自分をリアルに省みる視点がどの曲にも内在していることだ。中でも「君に存在価値はあるか」というフレーズがアルバムの象徴といえる「生活」は、2001年のリリース当時から高い支持を受け続ける、バンドを代表する一曲である。また、五十嵐隆(Vo/G)のうつろな歌声とメランコリーの渦をかき回すようなギターが響く「負け犬」もこの時期のバンド像が反映されたナンバーだ。テンションを上げるのではなく、むしろふさぎ込むような空気が漂う本作は、極めてネガティブな響きを放っている。しかしだからこそ、この音の空間に身を委ねることで心の中の何かが解放され、救われたリスナーは数多くいるはずだ。当時の彼らは、ライブではBUMP OF CHICKENやART-SCHOOLと共演を重ね、またTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTと比較されたりしたが、ここで鳴っているのはどのバンドとも異なるロックサウンドである。この後の彼らはメジャーレーベルと契約を結び、一方ではベーシストが脱退するなど、次の段階へと進んでいった。最初期のバンドの姿が集約された作品と言える。