

ハードとメロウがせめぎ合うオルタナティブなバンドアンサンブルを指向するGREAT3。ニューウェーブやモッズ、ネオGS、ガレージロックのバックグラウンドを持ち、前身バンドのROTTEN HATSではアメリカンルーツミュージックに興じるなど、幅広い音楽性を横断してきた。そんな彼らが、美しさや甘さ、痛みや悲しみが絶妙なバランスで共存したスリリングな前作『Metal Lunchbox』を経て放つこのサードアルバムでは、当時さまざまなトラブルを抱えていた片寄明人(Vo/G)の危うい精神状態がサイケデリックな音像に投影された。EL-MALOの會田茂一とbloodthirsty butchersの小松正宏が参加した「R.I.P」や、エモーショナルな演奏が引き裂かれた感情を増幅する「影」に象徴されるように、初期のフレーミング・リップスやMercury Revに通じるねじれたポップセンスが交錯している。ザ・ビーチ・ボーイズのサイケデリアを濃縮したかのような「玉突き」、狂気的な愛を歌ったスウィートソウル「Lovemen」、1960年代のソフトロックバンド、The Millenniumのカバー「There Is Nothing More To Say」が並ぶ。さらには「~Romance~」「ヒンズー スクワット」「Coffee House」といった妖しいムードをたたえたインストゥルメンタルなど、当時のバンドが置かれていた壮絶な状況がうかがい知れる混沌とした作品世界に引きつけられる。