WAVE

WAVE

「表現者として素直に立つことを最優先にしようと思っていました」。亀梨和也はファーストフルアルバム『WAVE』について、Apple Musicに語る。長年のグループ活動を経て、2025年から新たな環境でソロ活動を本格化させた彼は、大きな変化の渦中にいる自分を見つめていた。そして移行期に揺らぐ自身の姿を作品に落とし込もうと思ったのは、アーティスト、俳優、テレビ番組の司会など、幅広いフィールドで活動する中で「自分は何者なのかと悩み苦しんだ時期もあった」からだという。「どの仕事も好きだから、一つだけにするとバランスが取れなくなりそうで。でもある時、いい感じの揺れがあることこそが、僕の人生そのものだと思えるようになりました」。その気付きが、“波(WAVE)の流れにプレイヤーとして立つ”という本作のコンセプトへとつながっていった。 亀梨は活動内容によって、自分の中のモードが変化していくのも楽しんでいるという。「アーティストモードになるとスタッズが付いた服を着たり、音楽を聴きながらゆっくりウイスキーを飲んだり(笑)、ちょっとナルシスティックに浸る時間が心地いい。不思議なことに、俳優モードのときにそれをやると違和感が出る」。今回はクリエイティブ面でもソングライターたちと積極的に意見を交わした。「心からアーティストといえる日はまだ先かな」と控えめに笑うが、その種は既にまかれていた。「以前、B'zの稲葉浩志さんから『亀梨くんの書く詞はいいから、言葉をノートとかに残しておくといいよ』とアドバイスをいただいて、それから言葉を書きためるようになりました」。本作は、彼の中から湧き出る感情が実った始まりの作品といえる。「個の表現者としての濃度はおのずと高くなっていくだろうな、という感覚が沸々と湧き上がっています」と語る亀梨和也に、ここからはいくつかの楽曲について解説してもらおう。 WAVE 今後の音楽活動の軸になっていくであろう曲。意外な曲調かもしれないけれど、自分の中から湧き出たものがあり、“まとまらない、まとめない”っていう軸はぶれないでいこうと思った。特にこだわったのは、声の距離感。歌い方はもちろん、声の種類や音の重ね方、反響の具合まで、制作チームと細かく話し合いました。グループのときと違って、すべてを自分で構築する作業は初めての感覚でしたが、すごくやりがいがありました。 Crushing On You このくせの強い曲を2曲目にもってくるのが、僕のあまのじゃくなところ(笑)。予想を裏切った上で、心地いいものを探りたいという思いがあります。「すきバグる」とか「無理エグい」といった歌詞は、もともと英語だったけど、何か引っ掛かりが欲しくて。ちょっと攻めすぎかなと思いつつ、UTAさんと相談しながら、“外し”の表現を探っていきました。 POMPEII 友成空さんに「攻めてもらって構わない」とお伝えして作っていただきました。冒頭から強いワードが並ぶためチーム内で議論も起きましたが、僕は「このままいきたい」と主張しました。友成さんや、「36度5分」を手掛けてくれた名誉伝説のけっさくさんは、僕より下の世代。彼らの若いエネルギーをリスペクトしているし、その波動がどう自分に影響するかがアルバムの一つのテーマでもあります。お二人とも、自分だけでは絶対たどり着けない場所へ連れていってくれました。 36度5分 デモをいただいた時は、歌詞の登場人物として歌った方が面白いかなと思ったけど、果たしてそれで自分の肝心の狙いが伝わるのか、という迷いもあった。とはいえ、亀梨フルスロットルで歌うのも違う気がして、歌い手としてどう立つのが正解なのか最後まで悩みました。一度録り終えてブースを出て、フロアでみんなで聴きながら「別バージョンも録ってみよう」と何度もトライを重ねていきました。 さよならの代わりに 等身大の自分にすごく近い曲。自分の思いをリンクさせたくて、詞を一部提示させてもらいました。「擦り減った靴が 擦り減るたびにね」という歌詞がまさに今の自分で、これまでの歩みがあるからこそ次の一歩を踏み出せる。新しい環境だからといって「靴を履き替え、まったく違う別人になります」と言いたいわけではない。この曲にちりばめられた今の僕を、皆さんがどう受け取ってくださるかが一番のプライオリティです。 Chemistry レーベル担当の方がすごく推してくれた曲。歌うにあたっては、自分の中に種を植えて、どう栄養や水を与えてどんな芽が出るのか、育てていく作業が楽しかったです。ソロとしての旅が自分に何をもたらし、皆さんとの新たなつながりをどう広げていけるのか。この曲が、僕の次の歩みを始める大きな出発地点になってくれたらと思っています。 ʼO sole mio イタリア取材中にGRe4N BOYZのHIDEさんとメールでやりとりしながら作った曲。HIDEさんは僕がイタリアにいると知らないのに、最終的に出てきたタイトルが「’O sole mio」で、不思議なご縁だなと(笑)。海外にいる時の、いい意味での感覚の揺らぎが、裏テーマである“ジャンルレス”に自然とフィットしていきました。

ミュージックビデオ