SPEEDSTAR

SPEEDSTAR

LEX

「音楽を作り始めた頃の気持ちに立ち返ってみると、細かいことを気にせず、純粋に音楽を楽しんでる自分がいたことに気付いて、そういう作品を出したいなって思いました」。ラッパーのLEXは前作『Original』(2026年)から驚くべき短期間で完成したアルバム『SPEEDSTAR』について、Apple Musicに語る。「制作期間は本当に1~2か月。レコーディングもすごく楽しかった。それが一番じゃないですか。しかも、今回のアルバムは曲調が単調だったり、雑さや意味不明な箇所があったりするんですけど、逆にそこが気持ちいいなって」 タイトルが示すように、完成度より勢いを重視した本作は、レイジやジャークへと進化するヒップホップシーン最前線の荒々しい躍動を鮮明に焼き付ける。「雑さを全開に出しながら、繊細な仕掛けもたくさんある。向き合い方としてはとても簡単な曲たちなんですけど、噛み砕いたり、理解するのは難しいアルバムだと思っていて。でも、このプロジェクトが成功して、これが今のヒップホップシーンで正解となった場合に、すごいことが起きると思ってます」。突き抜けるようなスピードとトリッキーな仕掛けが交錯するスリリングな本作について、ここからはLEXにいくつかの楽曲を解説してもらおう。 INTRO 世界観のインスピレーションは映画『DUNE/デューン 砂の惑星』。あの作品は、才能を持ってる主人公が大勢の民衆に支えられて、成長していく過程で暴君と化してしまう。そのシナリオが大好きなんです。僕についても、昔からのファンはやりたいこと、やってることを理解してくれているけど、新しく知ってくれた人たちは違う解釈で僕のことを見る。そのズレがたまに悲しく感じられるし、それが『DUNE』の主人公と重なる。 V12 タイトルは車のエンジンから。それくらいスピーディに走りすぎてる。すごく荒いサウンドの中に「tryna get some money baby」とか、ちょっとした難しいポイントが入っているのが好きで、そういうところを感じ取ってほしい。この曲がライブでどうなるか。イントロから重たいベースが入ってきて、そこからモッシュピットが起きるのは目に見えてるので、楽しみです。 Melo NBAにラメロ・ボールって選手がいて。みんな彼を「メロ」と呼んでいるんですけど、奇想天外なプレイをするんですよ。僕はそういうトリッキーなプレイヤーがめちゃめちゃ好きだし、そのメロのような奇想天外な曲が完成したと思います。サビのワーって部分とか、もう訳分からない。そういうところが大好きです。 センス feat. Siero 同じクルーで活動しているHezronから「やばいやつがいるから曲を聴いてほしい」って言われて、それで聴いたのがSieroの「ニコニコ」って曲でした。すごいキャッチーで、しかもラップの置き所がリズムから外れていて、いい意味で気持ち悪かった。こいつカッコいいなと思って、連絡して「これ一緒にやろうよ」って。アルバムの中のテーマソングを作ったって感じです。 NEWDAY この曲の叫び声は言葉にできない歌詞が内から湧き出ちゃってる。あと、ハイハットがでかい。今、最先端のUSヒップホップはハイハットがバリバリに割れてる。プレイボイ・カルティを筆頭にその時代が始まって、それがいい意味でどんどんひどくなっている。そこに僕はグランジっぽさを感じてしまって。これは完全にジャークと呼ばれるサウンドなんですけど、もう本当に音が割れれば割れるだけいい。 ELDEN RING 曲を作っている時、メロディが思い付かなかったら、いったん置いてゲームをやったりする。この曲の時はそれこそ鼻歌を歌いながら『ELDEN RING』で遊んでいたら、「これだ!」というものが思い浮かんで、そのまま曲にした。自分のやりたいことを自由に、とことんやらせてもらいました。 リーリエの手紙 タイトルに出てくるのは『ポケットモンスター』のキャラクターです。ポケモンカードを集めるのにハマっていた時期があって、リーリエはトップグレードのカードですね。さすがにそれは持っていないけど、今、ポケモンカードが流行っているので。秋葉原のカードショップでガンガンかけてほしいです。