

2021年にアンダーグラウンドシーンから一気にブレイクして以来、ラップ界における謎めいた存在のYeatは、自身のやり方を貫きながら、カルト的なファンベースに対しても私生活をほとんど明かしてこなかった。しかし、Zane LoweによるApple Musicの貴重なインタビューで、本名Noah Olivier Smithとして生まれたこのラッパーはついに口を開いた。「ずっとシャイスティ(目出し帽)をかぶってたし、インタビューもしなかったし、人とも話さなかった」と彼は語る。「別にミステリアスでいようとしてたわけじゃない。ただ、誰かに先入観で勝手なイメージを作られる前に、音楽ですべてを語りたかったんだ」 しかし、長らく予告されてきた6作目のアルバム『ADL (A Dangerous Lyfe/A Dangerous Love)』で、その姿勢は変わろうとしている。「今がその段階から抜け出すタイミングだと思ってる。自分自身をちゃんと見せる時だって」と彼は言う。「ここまでの旅に関わってきた人たち、そしてこれから関わる人たちに、なぜ自分がここに理由をちゃんと示す時期だと思う」 『ADL』は、26歳の彼にとって大きな転換点となる作品だ。これまで膨大な楽曲をほぼ一発録りで制作してきた彼は、「昔は、一度作った曲を後から手直しするのは良くないことだと思ってた」と振り返る。「ずっと“作って、消して、終わり。次の曲、次のアルバム”って感じだった」。しかし、約2年をかけて制作された『ADL』では、そのスタイルを変えた。「今回は初めて腰を据えて、2年前の曲を引っ張り出してきて手を加えたり、あれこれ組み合わせたりして、今までよりずっと手間と労力をかけたんだ」 その結果、Yeatの広大なカタログの中でも最もパーソナルな作品が完成した。ただし、その内面はやはり彼特有の癖のあるフィルターを通して表現されている。「Back Home」「Up From Here」といった楽曲では特に率直な側面が見られる。後者では「どん底にいた(I was at rock bottom)」と歌い、「燃え上がるのを見届けて/また新しいページをめくる(Watch it go up in flames/Turn another page)」と続ける。「自滅寸前の状態で独り取り残された(on a crashout island)」というリリックは、彼の最近の心身の変化を示唆している。『ADL』の制作中、彼はドラッグの使用を大幅に減らし、健康を優先するようになったのだ。「なんでこんなことしてるんだろう?」と、増えていく薬物の使用について考えたことを振り返る。現在は、「健康こそが財産だと思ってる。自分の面倒を見られなければ、誰のことも守れないから」と語る。 これまで孤高の存在だった彼だが、『ADL』では驚くほど多彩で意外性のあるゲスト陣を迎えている。「Face The Flamë」にはヤングボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲインとGrimesが参加。Grimesについては、2012年の「Oblivion」を聴いて以来のファンだという。また、アルバムの感情的な核となっている「NO MORE GHOSTS」にはキッド・カディが参加し、1バースを加えている。「カディは完璧な人選だった」とYeatは言う。「サウンド的にもそうだけど、精神的にも思想的にもね」 さらに、「Let King Tonka Talk」にはKylie Jennerの別名義であるKing Kylieがレアな形で参加。「Lose Control」では、コーチェラ・フェスティバルで実際に会ったエルトン・ジョンの「Someone Saved My Life Tonight」をサンプリングしている。とはいえ、コラボレーションに必要なのはネームバリューだけではない。「名前とかはどうでもいい」とYeatは言う。「自分が本当にやりたいと思えるものであること、そしてその人自身をちゃんとリスペクトできること。それがなきゃ成立しない」 ドレイク、カニエ・ウェスト、50セントといったアーティストの初期作品に影響を受けた彼は、『ADL』の楽曲をより自身のリアルな人生に根ざしたものにしたかった。「今の音楽に足りてないのはそこだと思う」と彼は語る。「少しでも自分をさらけ出して、弱さを見せることで、リスナーはその“本物感”を感じ取る。それは適当なことを言うより、ずっと遠くまで届くんだ」 しかし最終的に、Yeatの音楽はあくまで“たった一人のリスナー”のために作られている。「自分のために音楽を作ってるんだ。車に乗ったときに何を聴くと思う? 99%は未発表の自分の曲だよ」