

2020年代を通じて、Earl SweatshirtはMIKEの複数の作品に参加し、MIKEもまた、Odd Future出身のEarlによる『VOIR DIRE』の収録曲「Sentry」に参加している。そうした関係性を踏まえれば、2人がジョイントアルバムを出しても誰も驚かなかっただろう。しかし彼らが選んだのは、2003年頃のアウトキャストのように作品を二分するスタイルだった。それが本作『POMPEII // UTILITY』であり、SURF GANGの名のもとにまとめられた正式なスプリット作品だ。これまで両者の気まぐれともいえる音楽性の変化に付き合ってきたリスナーなら、evilgianeやHarrisonといった内部プロデューサーによる、ニューヨークのコレクティブらしい刺激的なプロダクションもまた、新たな魅力として受け取れるだろう。 前半『POMPEII』を担うのはMIKE。「Minty」や「THE POPE」といった祝祭的なバンガーから、ムード重視のトラックまで自在に渡り歩く。2025年の『Showbiz!』でもSURF GANGと共作していた彼は、「AFRO」やラストの「Man of the Month」で、実験的で揺らめくビートに合わせて密度の高いフロウを巧みに変化させている。SURF GANG常連のAnysia KymとNiontayはそれぞれ「NOT 4TW」「F.E.A.R.」に参加し、かつてのOdd FutureメンバーであるNa-Kel Smithも「Back LA」で気だるくもラグジュアリーな存在感を放つ。 Earlは、『POMPEII』収録の「Kirkland」で自身のパートの一端を見せつつ、『UTILITY』では独自の美学にどっぷり浸かっている。2025年の『Live Laugh Love』にも通じる、ラフにパンチインを重ねたような質感がありつつ、「Earth」や不穏さを帯びた「Home on the Range」では相変わらず確かなリリシズムを発揮する。全体としては浮遊感のあるサウンドが中心だが、「Chali 2na」や「Tour de France」といった軽快な楽曲がアクセントになっている。