理屈で話す君と、感情論の僕

理屈で話す君と、感情論の僕

「僕の人間性がそのまま出ている曲ばかり」。ヤングスキニーのかやゆー(Vo/G)は、サードアルバム『理屈で話す君と、感情論の僕』についてApple Musicに語る。確かに本作は、人気バンドのフロントに立つ人物の内側を映し出すドキュメンタリーのようだ。彼の人生には何より大事な音楽と恋愛があって、その二つがどうしても折り合わない。ときどき彼女より音楽を優先してしまうし、ついお酒を飲み過ぎてしまうし、他の女の子に気を取られてしまうこともある。そんな矛盾だらけの自分を受け入れてほしいと望む冒頭曲「stay with me」で、いきなりバッドエンドを迎えるところから、リスナーはかやゆー特有の“感情論”へと深く引き寄せられていく。「コンセプトを持って作り始めたわけではなく、いつも通りその時にできた曲を入れただけ。でもそれぞれの曲を作ったタイミングの僕の人生を追体験できるようなアルバムになっていると思います」 歌に登場する彼女はいつも悲しんで怒っているが、それもまた当然のこと。タイトルの由来となったラストナンバー「ちゃんと帰ってくるから、許して」では、至極真っ当な理屈を述べる彼女に、主人公は少しうんざりしながらも「感情論でごめんね」と許しを請う。釈然としないやり取りなのに、なぜかこの主人公には、あらがいがたい魅力がある。損得を考えずに本音をぶつけられるからなのか、それとも誰もが覚えのある感情を歌っているからなのか。リスナーそれぞれが受け取ることのできる余地を残しながら、かやゆーは「僕の心の奥底までを感じ取ってくれたらうれしいです」と思いを口にする。ここからはメンバー全員に、全曲の解説をしてもらおう。 stay with me かやゆー:僕は彼女ができると基本彼女以外にモテたいと思わなくなる。でも女にモテたいって気持ちを失ってしまったら、僕は何もできない面白くない男になってしまう。逆に、面白い男に、僕なりのバンドマンになろうとすると彼女を大切にすることができなくなる。だから僕には、音楽と恋人の両立は難しい。この人は大切にしなきゃいけないと思っていたし、大切にしたかったし、大好きだったけど、僕は音楽が一番好きでした。 るっせぇ女 かやゆー:この曲が出来た時は、最高に俺を表現できたと思った。最初は1番までのショートチューンの曲だったんだけど、2番が作れた時はもう脳汁がドバドバで。ありきたりな女目線かと思いきや、実は男目線の女の気持ちだったっていう。とことんカスな曲が出来てうれしかった。ただカスだけど俺なりの純愛なんです。他の子とデートや目移りなんてありえない。マジでちゃんと愛してる。感情論では。 本音 しおん(Dr):ヤングスキニー的、ハードロック調の壮大なバラードが出来上がりました!洋楽の雰囲気を感じる、Aメロ、ブリッジ、コーラスという楽曲構成。1サビと2サビ前の、共にハッとさせられる展開も聴きどころです。コーラス部分の、ビッグバンドビートのようなバンドサウンドのノリから広がるストリングスアレンジもかなりグッとくるポイントで要注目です。2サビ前のドラムソロもカッコいいから聴いてみてね♡ 悪い人 りょうと(B):戦慄かなのさんに楽曲提供したものをセルフカバーした一曲です。ヤングスキニーらしさを出すことにこだわってバンドサウンドに仕上げました。2番では歌詞が追加されて、かやゆーが歌うことで原曲と全然違う聴こえ方になっています。それぞれにとっての、悪い人ではなかった人を思い出して聴いてもらえたらうれしいです。 三茶物語 ゴンザレス(G):お酒と日常をテーマにしたポップな楽曲。聴いていて明日、友達や同僚や恋人、自分の身の回りの大切な人と飲みに行きたくなってほしい。包み込むような暖かみのあるところが特徴なので、歌詞だけではなく音として触れるサウンド面にも注力して制作しました。 カレーライス かやゆー:2024年の12月は一番しんどい時期だった。酒の飲み過ぎで、身体より心が疲れていた。そんな中おばあちゃんが、末期のがん。お見舞いに行った後の、東京への帰り道はしんどかった。誰かと一緒に居たかった。家で待ってる当時の彼女に早く会いたかった。彼女の手料理で愛を感じたかった。そんなメンタルがめちゃくちゃ沈んでる時にできた曲。 関白宣言 りょうと:軽快なバンドサウンドが特徴の一曲です。Bメロでは、リードギター、ベース、ドラムそれぞれの動きのあるフレーズが噛み合わないと一気に崩れてしまう。さらっと聴けるけど、実はかなり難しい曲になっています。ぜひそのあたりにも注目して聴いてみてください。 ちゃんと帰ってくるから、許して かやゆー:俺は好きな女以外とはデートなんて行かない。身体は浮ついてしまうけど、気持ちは1ミリも浮つかない。あなた以外に愛おしい人は、一人もいないから。そんなことを思って書いた曲。こんな感情論では、人を幸せにすることはできないらしい。