Ricochet

Ricochet

2021年のアルバム『Valentine』に続く新作『Ricochet』で、Snail MailことLindsey Jordanは伸びやかなメロディと、傷つきながらも愛らしく率直な内省を融合させる才能に一層磨きをかけている。同様の志向を持つインディーズロックバンドMommaのAron Kobayashi Ritchと、R.E.M.のプロデューサーであるミッチ・イースターの協力を得て、Jordanは『Valentine』で聴かせたダイヤモンドのように研ぎ澄まされた1990年代のオルタナティブロックサウンドをさらに深掘りした。一方で、彼女をスターにした2018年のデビュー作『Lush』を特徴付けたギター中心の重厚なサウンド(「Dead End」の冒頭でさく裂する渦巻くようなリフは要注目だ)も決して忘れてはいない。 「Tractor Beam」の陰影のあるサウンドや、ストリングスを多用した「Cruise」は、スマッシング・パンプキンズの苦悩に満ちた演劇性やグー・グー・ドールズの高揚感あふれるコーラスからの影響を受けているようだ。そうしている間にも、Jordanのソングライティングはこれまでと変わらず直球で親しみやすく、遊び心のあるパンチが腹に効くような、柔らかな力強さを常にたたえている。