

「自分のアルバムを作ることになった時に…」。フリーはアルバム制作時を振り返って、Apple MusicのZane Loweに語る。「とてつもなく自信過剰になる瞬間もあれば、『ああ、トランペットがうまく吹けなかったらどうしよう』と不安になる瞬間もあった」 フリーがトランペットに魅了されていたことは、よく知られていた。レッド・ホット・チリ・ペッパーズの起爆剤のようなベーシストである彼は、ジェーンズ・アディクションの1988年のデビュー作や、自身のメインとなるバンドのアルバム、さらにはザ・ビーチ・ボーイズのアル・ジャーディンのEPでもトランペットを演奏してきた。そして、バンドリーダーとしてのデビュー作となる『Honora』でのフリーは、最初にほれ込んだ楽器への情熱を、驚くほど多様な形で改めて示している。ニック・ケイヴが歌う「Wichita Lineman」ではほろ苦いソロを披露し、「Traffic Lights」ではトム・ヨークの歌声を支える柔らかな質感のクッションのように使い、「Thinkin Bout You」ではフランク・オーシャンのコーラスを抱きしめるかのような音色を奏でる。 前回のレッド・ホット・チリ・ペッパーズのツアー中、世界中のホテルの部屋でトランペットの練習を重ねた後、フリーはSMLのサックス奏者で、Leon Bridgesの元音楽ディレクターであるJosh Johnsonをプロデューサーとして招いた。そして2人は、ギタリストのジェフ・パーカー、ドラマーのDeantoni Parks、ベーシストのAnna Butterss、フルート奏者のRickey Washingtonという多才な即興演奏家たちからなる豪華なバンドを結成した。フリーは彼らの目に素人や部外者として映るのではないかと萎縮していたが、それどころかむしろ励まされ、興味の赴くままに音を鳴らす自分を支えてもらったことに喜びを感じたという。バンドは一体となり、「Frailed」ではトリップホップフュージョンの世界へと漂い、ファンカデリック「Maggot Brain」の壮大なギターソロを再構築することで、どこかためらいがちな希望を見いだしていく。 『Honora』は最終的に、友情と愛の行為、つまり誰かに新しい自分になるための場所を与えるようなアルバムだ。「Everyone just wants to be loved(誰もがただ愛されたいと願っている)」と、フリーはスポークンワードのソウルジャズ「A Plea」で真剣に語る。「And everything besides love is cowardice(愛以外の行いは、すべて臆病だ)」と。それならば、トランペットを奏でるバンドリーダーとしてのフリーの挑戦は、まさに勇気に根差した第2章といえる。