

「自分がラッパー、プロデューサー、BMSG CEO、そしてただ一人の人間として人生と向き合ってきた中で、見てきたもの、培ってきた人生観が詰まった集大成ともいえる作品となっています」。ラッパーのSKY-HIは、3年ぶりとなるアルバム『Success Is The Best Revenge』についてApple Musicに語る。自ら設立したマネジメント/レーベル、BMSGのCEOとして、次世代アーティストの育成およびプロデュースを通じて日本の音楽シーンのゲームチェンジャーとなったSKY-HIは、パフォーマンスグループ、AAAの一員であり、フリースタイルやクラブの現場からキャリアを積み重ねてきたラッパーでもある自身の人間的、音楽的多面性をこの作品に濃密に凝縮している。紆余(うよ)曲折しながら歩んできた音楽人生を歌い切った「The Best Revenge」をはじめ、AAAの盟友であるNissy(西島隆弘)をフィーチャーした「SUPER IDOL」、さまざまなボーイズグループのラッパーたちが集う場をお膳立てした「ID feat. SHUNTO, RYUKI, JIMMY, FELIP」。自ら制作したビートに加えアルバムを彩るのは、Chaki Zulu、Xansei、Ryosuke "Dr.R" Sakai、VLOTといったプロデューサー。さらにedhiii boiやNovel Core、デビュー前のSTARGLOWから迎えたTAIKI、GOICHIというBMSG所属アーティストたちをフィーチャー。枠に収まりきらない自分の創造性を信じ、夢をかなえ続けてきた説得力が宿るこのアルバムについて、ここからはSKY-HI本人に全曲を解説してもらおう。 The Best Revenge まずはビートだけを先に作ってしばらく自分の中で温めていたんだけど、2024年のツアー制作を進める中で「ラッパーとして今歌うべき曲がある」という思いに駆られて。ツアーが始まる2日前、スタジオにいる時に「このビートで、今の自分の人生をちゃんと書こう」と思い、作りました。10代前半から始まったアイドル、アーティスト人生で味わったこと、そして、起業に至るまでのことを包み隠さず書いています。もしこれが人生最後の曲になったとしても後悔しないように、自分しか書けない話を真正面から刻みつけた1曲です。 It's OK 「ひたすらラップしよう」と思ってChaki Zuluのスタジオに行ってそのまま作った曲です。セルフボーストくらいしといた方がいいかな、って思ったんだろうね(笑)。 No Flexin’ Xansei君が日本にいるタイミングに一緒に作った曲。2000年代のヒップホップのノリ、踊れるものをやりたかった。元々分かりやすいジュエリーとかのフレックスは必要ないタイプなんだけど、実際、額だけじゃなくて日本で一番いいお金の使い方してると思ってます。なんにせよ踊れる曲になったんでよかったです! deaf edhiii boiと曲をやりたかったんだけど、せっかくなのでプロデューサーとしてのキャリアも前進させてあげたくて。スタジオに来てそのままトラックを作ってもらって、歌ってそのまま完パケしました。僕は先天性の障がいがあるんですけど結構気に入ってて、“欠けてる部分こそ強みになる”っていうテーマを歌いたかったし、やるなら所属とか関係なくedhiiiだなって思ってました。ライブではロックのフィールでアレンジ効かせているので聴きに来てください。またいつか必ずやるので。 大丈夫 feat. Novel Core スタジオでビートを作ってそのまま歌ってるところにコアが来てくれたんだけど、割と強い部分が前に出たリリックにしてたら「そっちじゃなくてさらけ出していいと思いますよ」ってコアが言ってくれたんで、こうなりました(笑)。Novel Coreとじゃなかったらできなかった曲だろうし、感謝しています。また自分との会話としても有意義で、バースはほぼ一筆書きでした。こんくらいの気持ちになる日があっても大丈夫だよ(笑)。 ID feat. SHUNTO, RYUKI, JIMMY, FELIP 自分がアイドルとアンダーグラウンドを同時に生きてるころ、こんなことを誰かにやってほしいと思っていて、今回さまざまなボーイズグループのラッパーを呼んで一緒に作った。タイトルの「ID」は、身分証だったりイドだったりアイドルだったり、いろんな意味があるんで、皆が自分の存在証明をしてくれて頼もしかったです。(シングルリリース時に参加した)RYOKIが”グループのメンバー”ではなくなるので、”グループのメンバーでありながら”っていう人が集まってくるこの楽曲の趣旨とは異なっちゃうからどうしようかな、と思っていたんだけど、BMSG FESでSHUNTOがぶちかましてくれたのでそのまま収録させてもらいました。ラップスキルも含めて、みんなの個性がしっかりと出た曲になったと思う。 SUPER IDOL Nissyとお互い10周年の節目で作ったんだけど、一緒にやるなら絶対このタイトル、っていうのは自分の中にずっとありました(笑)。ヒップホップミーツグッド何か、ってことでドラマチックに展開するサウンドは新しい挑戦でもあって、面白いですよね。コライト中にSUNNY BOYがドラムをエディットしだして、さすがSUNNYって感じのアイデアでした。自分は割と平和なんだけどNissyのリリックが攻撃的でシニカルだったのは面白かったです(笑)。 At The Last STARGLOWが生まれたオーディション、THE LAST PIECEのテーマソングとして作った曲で、夢を堂々と言える空気、アンチ冷笑のヴァイブスをみんなに届けたかった。「笑われようと笑え」から始まるポストフックで言いたいこと全部言えました。Ryosuke "Dr.R" Sakaiのスタジオに入って、先にアカペラで歌ってからビート組んでもらった。「BF is…」の時以来の作り方でした。ネガティブな方が流行りやすい世の中だからこそ、こういうヴァイブスで生きてくことはマジで大事だと思ってます。 Future In My Pocket feat. TAIKI, GOICHI デビュー前のSTARGLOWのTAIKIとGOICHIを迎えて作った曲です。彼らを客演に迎えたのは、デビュー前に面白いことがやれたらいいなと思ってたのもあるけど、特にTAIKIはグループのデビュー前からラッパーとしてずっとやっていて、そこをちゃんとナラティブとして伝えていきたいし、そういう人がボーイズグループをやるのってめちゃくちゃエポックメイキングで自分の存在証明にもつながるんで、ここで象徴的なものを1個作りたかった。このタイミングに彼らから出てくる言葉を聞いてみたくて、やっぱり面白かったです。今の2人とこの楽曲をやれたのは一生の財産。 If I die tomorrow この曲は、誰もが自分を肯定できる世界を願いながら作りました。今死んだら俺幸せかな? あ、でもあいつらにとって前向きなニュースではないよな…とか考えてるうちに、どうせなら死んだ時に笑ってほしかったんで、ここに遺しておきました。また会えるし! Success is 自分にとっての成功って何だろうっていうことをそのまま言葉にしています。なんだかんだこういうサウンドとグルーヴが一生好きなんだよね、ってRyosuke "Dr.R" Sakaiさんと話しながら。自分でも書きながら救われる瞬間もありましたし、浮かぶ顔もたくさんあって、やっぱ俺ってラッパーなんだな、と思いました(笑)。アルバムの最後にこの曲ができたことで、自分がこのアルバムで何がしたかったのかがやっと自分で分かりました。いつも感性に思考が追いつくのはちょっと後なんですよね。現代に必要な作品ができたと胸張って言えるんで、よかったです。