

「『天使様』と呼べるような、僕に優しさを分けてくれる人たちのおかげで運命的に生まれたアルバムです」。Mega Shinnosukeは、5作目のフルアルバム『天使様†』についてApple Musicに語る。18歳でデビューし、Z世代の感覚を宿した数多くの作品を放ってきたMega。彼は今、表現者として新たな季節を迎えている。「なんだかんだで7年間、創作活動を続けさせてもらえています。その中でいろんな浮き沈みを経験しましたが、芸術家として“楽しい”も“悲しい”も同等においしい感情として感謝し、向き合い、表現することを決め、恥ずかしいことも惨めなことも歌えるようになってきました」。その言葉の通り、本作には、恋に落ちる瞬間の無防備な心や、ちょっと不器用なコミュニケーション、未完成な部分など、ありのままの姿が刻まれている。中でもラストを飾るラブソング「白い墓 (slowed+reverb)」は、シングルバージョンがアコースティックギターに彩られた軽やかなポップスだったのに対し、本作ではぐっとテンポを落とし、強いリバーブをかけたサウンドでリアルな気分を象徴している。 かつてのMegaは、例えばその名を広めた「桃源郷とタクシー」(2019年)において、まとわりつく現実を断ち切るように軽やかな足取りで走り抜けていた。けれども本作では、メランコリックな気分に沈んで足取りが重くなることも、やるせなさに涙することも、すべて受け止めてポップスへと昇華している。「令和の東京を生きるただの独りの若者として表現し、日記のように等身大の作品を作り続けたいと生きています」と語るMegaに、ここからは全曲の解説をしてもらおう。 ohayo 「さよなら天使様」の冒頭を引用し「ohayo」と iPhoneのボイスメモで録った音声を入れました。ギミック的な要素をもちろん重視していますが、どんな感情もいずれにせよ繰り返すという表現でもあります。“さよなら”も“おはよう”も繰り返す。そうやって日々はただ流れ、その中でまた何かを愛せるように生きています。 さよなら天使様 もう会えない大切な人に向けたラブソングです。 思い出にふけりながら、惨めでもどうにか前に進みます。 「悲しみの果て」は大好きな曲なので、ひっそりと入れさせて頂きました。 映画の冒頭でビンタを食らい振られる主人公のように“さよなら”から始まる音楽集合体があってもいいと思い、この曲から幕を開けます。 禁断少女10 数年前まで強く抱いていた感情の話です。 僕は昔から年上の女性とお付き合いすることが多く、彼女との人生経験の差から劣等感を感じることが多くありました。そして自分の中にある青々しい正義感に悩まされる毎日。そんな経験から“禁断少女10”というキャラクターを思いつきました。10が何を表す数字なのかはあえてここでは明言しませんが、そんな負の感情からも音楽は生まれました。 トラウマ 僕はどうやら反芻(はんすう)思考が強い人間のようで、イヤな思いをするとそれをしつこく思い出します。そんなコンプレックス的な性格からこの曲は生まれました。自分への救済だったのかもしれません。 青春ごっこ 僕は学生の時の友達はあまり多くはありませんが、地元福岡を愛しています。帰る場所があると思えると、心が少し軽くなります。そんな場所から離れて一人、東京での暮らしの中で音楽を紡ぐことをテーマに制作しています。くだらないことも全力でやれていた“青春”の力。ずっと忘れずにいたいです。 ナードと天使 ひねくれ者は女の子とうまく話せません。僕もそんな一人かもしれません。 もどかしくうごめく感情とぼそぼそと会話してるうちに、あっという間に夏休みは終わるのです…。 メロい夢 いったん好き同士になってしまえばこっちのもんだよね。どこまでも"好き"の気持ちを奏でたい。そんな一曲です。落ちサビがばかみたいで好きです。みんな恋をしたらばかになるらしいですよ。 君にノーベル賞 ほんとはこんなつもりじゃなかったのに!ってなるのもなんだかチルいですよね。デンジくんみたいに「ワン」って言いたい気持ち、僕にも分かってしまいます。どろどろとした世界にふいに現れた天使様。ノーベル賞を贈りたい。 ごはん食べヨ TVアニメ『野原ひろし 昼メシの流儀』の主題歌としても、広く知っていただいている名曲。 初めてアニメ主題歌を務めさせて頂きましたが、「いつも通り肩の力を抜いて気楽にやろう。その方が絶対にいい作品になる」という謎の自信がありました(謎の自信は常にあります) 。軽やかに生活を彩る大好きなナンバー。 今を踊ろう 「全身全霊をかけて今を踊ろう」。そんな大胆な歌い出しから始まるこの楽曲ですが、昔はひどい完璧主義で不安症でした。自分に向けられる他人からのイメージを気にかけ、しょうもない時間に苦しみました。それを少しずついい方向に変えていけている気がする今日この頃です。“満たされてゆくんだな"夢中"に”というフレーズにある通り、何かに熱中する力は偉大です。 創作が僕の生きる意味であり、希望です。 白い墓 (slowed+reverb) シングルカットの通常版もあるこの曲ですが、アルバム版では「遅ければ遅い方がいい」と僕の中のリトルメガが言っていたので遅くしました。深海を泳ぐような心地がして好きです。世の中から切り離されて君と無垢(むく)な場所で、静かに生きていきたいという重い愛の曲。でも現実はそんなことはなく、憂鬱(ゆううつ)や月曜日は繰り返し訪れます。そんな日々の中に“君”がいるから僕は生きていけるのです。