

「ここから先は本当に己のチャレンジだと思っています」。岩田剛典はサードアルバム『SPACE COWBOY』についてApple Musicに語る。三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのメンバーとして2010年にデビューし、2021年よりソロアーティストとしての活動を始めた岩田。グループ活動に加え、俳優としても多くの仕事に取り組む中で完成させた本作は、彼の新たな地平を示すものとなった。その軸となるのは、初のアジアツアー、そして“宇宙”という壮大なテーマだ。「前2作で自己紹介のフェーズを終えて、今回はコンセプチュアルなライブとアルバムを届けたいという思いがありました。昔からずっと宇宙に引かれてきたし、仲のいい友達と語り合う会を開くほど好きなテーマ。今回、長年の夢だった海外ツアーを行うので、海を越えることと、大気圏や次元を超えることをリンクさせて、次のチャレンジを遊び心を込めて描こうと思いました」 岩田はアートへの造詣も深く、前2作に続き今作でもアルバムのカバーアートを自身で手掛けた。カウボーイハットを手に星に腰掛ける宇宙飛行士を描いた作品は、縦幅1メートルほどのキャンバスに、2、3か月をかけて仕上げたという。「ほとばしるパッションや可能性、自分はまだまだ行けるぞという思いを込めました」。アーティストとして全方位的な才能を持つ彼のスター性は、誰の目にも明らかだ。けれども本人は「自分は頑張らないと人と同じ土俵に立てない気がして、常に不安と危機感を抱えている」と明かす。過去のツアーMCでは、順風満帆な人生だと見られることへの違和感を語っていた。「あの時は『僕の原動力は怒りです』と言わせてもらったんですけど、反骨精神がずっと根底にあって、枯渇している感じが今もある。でも、それに対するフラストレーションは前2作を通じて浄化して、今はいかに自分をワクワクさせていくかを意識しています。安全なところにとどまって停滞するのではなく、新しいことにどんどん挑戦していく。このアルバムには、その思いを赤裸々に表現した楽曲が詰まっています」。ギアを上げて攻めの姿勢に転じた岩田に、ここからはいくつかの楽曲を解説してもらおう。 ZERO GRAVITY アジアツアーに挑戦する気概を込めて、ツアーのオープニング曲にするというコンセプトをはっきり決めてから制作を始めました。スペイシーな世界を表現しようと考えたとき、まず浮かんだのがイントロの“ピッピッピッ”という起動音やダブステップのサウンド。フックはエキセントリックな感じで、コレオグラフは絶対にアニメーション的な動きで表現したいというビジョンが生まれました。2番のメロディパートはタイトなフロウを詰め込んだラップになっていて、それも自分が挑戦したかった要素の一つ。空間オーディオで聴くと、いろんな方向から音が飛んでくるような感覚があり、曲の世界観により深く没入できると思います。 CROWN “ダンス特化”といっても過言ではなく、サウンドはまさに今のヒップホップ。映画『RIZE ライズ』を観てダンスに目覚めた15年前の自分に原点回帰し、これまで見せてこなかった本来の自分を表現できました。フックではあえて言葉を詰め込まず、同じフレーズを繰り返すことで、パフォーマンスをしていても気持ちいい仕上がりになりました。合間の高速ラップはパキッとした発声で、伝える意識を大切に。さらに二つ目のサビの後にはダンスブレイクを設け、フリースタイルでソロとしての自分を表現するパートを加えました。ソロアーティストとして新しい名刺を作れたと感じる一曲です。 ダンスフロア ニュージャックスウィングをやりたいという思いがきっかけになった楽曲ですが、仕上がりはJ-Popっぽさも残したサウンドになりました。ライブでみんなと一体になって盛り上がる演出ができそうです。 時計 ちょっと切ないラブバラード。MATE(三代目 J SOUL BROTHERSのファンネーム)のみんなは新しいバラードも聴きたいかなと思って入れました。正統派のJ-Popだと思うんですけど、他の楽曲が濃いからこそ、逆に際立って聞こえる。最初のイントロを聴いた時、ちょっとEXILEっぽいなと思いました。意外とソロではやったことないジャンルで、これも自分の中で新境地でした。 Get Down MVP この2曲の歌詞には照れくさいと思うほど強いワードが並んでいますが、その時に抱いた気持ちを赤裸々にさらけ出しています。事実しか書いていないので、自分らしさを強く感じてもらえると思います。テレビで観る印象とステージに立つ自分にはギャップがあるとよく言われるし、初めて会場に来てくださった方は「ステージにいるのは誰?」と思うかもしれません。ただ最近は、アーティストとして表現したいことが明確でないと、その言葉は届かないと感じています。もっと芯の部分、自分のマインドをすぐに説明できるようなアーティストでなければ、表現の濃度が薄まってしまう気がしていて。そんな価値観の変化もあり、自分が何者なのか、何を伝えたいのかを深く考えた一年でした。