

「私は、人々が実は思っている以上に似たような人生を生きているということを思い出せるようなアルバムを作りたかった。それが、孤独を和らげる助けになると信じています」。アメリカ、シアトル出身のシンガーソングライター、UMIは3年ぶりとなるセカンドアルバムについてApple Musicに語る。「このアルバムは『people stories』と名付けられました。なぜならすべての楽曲が、私のファンや友人から語られたストーリーを基に作られているから。音楽的には2000年代のポップ、R&B、フォークを基調としたサウンドになっています」。その音楽性をして“ヒーリング・ネオソウル”とも評されるUMIは、前作以降、BTSのVや星野源とコラボレーションを行いながら、“他者の物語の中に自分を見つける”というテーマで本作の制作を敢行。そこで描かれている自分自身を受け入れるプロセスと、繊細さと躍動感を兼ね備えたサウンドが、リスナーにインスピレーションと癒やしをもたらしてくれる。ここからは本人に全曲を解説してもらおう。 SOMETIMES あるファンが私にくれた質問から生まれました。「世界が不幸せなとき、どうやって自分は幸せになれるの?」。アウトロに、私とセラピストとの幸せについての美しい会話が収められています。世界を変えたいなら、まず自分自身がその世界を体現しているかどうかを問う必要がある、ということを思い出させてくれます。 WHAT NOW 歌詞に注目してみて。カップルが別れた後の物語。失恋の直後、まるで渋谷で崩れ落ちるような感情を描いていて、耳を傾けることで感情の旅に連れて行ってくれます。この曲にはベースがほとんど入っていません。ベース無しでサウンドに厚みと優しさを出すという挑戦が面白かったです。 GROCERY STORE 楽しくて無邪気なエネルギーを届ける曲。エレキギターを差し込む音、ケーブルのノイズ、子ども時代の音声クリップ、スタジオに来てくれた母のアドリブなど、曲中にランダムな要素をたくさん取り入れました。窓を開けてドライブしながら聴いてほしいです。 THE UNIVERSE 私が毎週ファンと行っているライブ配信から生まれました。ある日、“願いを現実にする方法”や“自分の夢が本当に叶うと信じること”について話し合い、その時に生まれたインスピレーションからこの曲を書いたんです。 ITS BEEN A WHILE この曲の大部分は、アメリカ中を移動する間に、ホテルで録音しました。人とのつながりの中で感じる気まずさや“曖昧な終わり方”、その“終わらせたいという気持ち”をテーマにしています。プロデューサーのV- Ronには「やってはいけないと思っていることを全部やってみて」と伝えました。すべてのルールを破ってもらったことで、この傑作が生まれました。 RAIN RAIN 私自身のことについて書いた曲。そしてとてもユニークで、創造的な曲です。バンジョー、アップライトベース、808、そして私の声だけで構成されています。この曲で創り上げた新しいサウンドスケープを、リスナーの皆さんに楽しんでもらいたい。 PINK CAMO カリフォルニア州マンモスレイクにある山小屋で、山を見下ろしながら書きました。自然が私たちに歌いかけてくるような、まさに“山の音”って感じの曲です。ちなみに高地での制作だったので高山病になってしまいました(笑)。 THE LIMIT 愛の果てしなさについての歌。これまで作ったどの曲とも違っていて、自分の“心のままに作る”ということに挑戦しました。自分の快適ゾーンから外れることを恐れずに作るのは、勇気のいることでした。実はこの曲のセッションに遅刻してしまって(笑)。私抜きで始まったことで、想像を超える世界に導いてくれました。 MANGO STICKY RICE アムステルダムのファンとのディナーで聞いた、愛の物語。歌詞がとても甘くて、ユーモラスで、正直です。ギターとドラムの感じもすごく好きで、甘くてノスタルジックな雰囲気があります。歌詞の可愛らしさや素直さ、そしてギターとドラムの温かい響きに注目して聴いてください。 FAMILIAR FRIEND 誰しも、たとえ自分にとって良くなくても手放せない癖や人間関係に心当たりがあると思います。 聴く人の経験に重なるような歌詞に注目してください。この曲を書き終えた後、車の中で聴いて、思わず泣いてしまいました。その瞬間、絶対にアルバムに入れよう! と思ったのを覚えています。希望を失った心が、暗いトンネルの先に光を見つけるための歌です。 RIGHT/WRONG 自分自身と“高次の自分”との対話が歌詞になっています。聴く人も、自分の内なる声と向き合えるようになるかもしれません。誕生日に目覚めた瞬間、今日この曲を録る! と決めて、すぐにボーカルを録音しました。この曲はすべて女性だけで作っていて、柔らかくて力強い“フェミニン”なサウンドを体現しています。 HARD TRUTHS 「もっと深い意味での“豊かさ”を歌にできないだろうか?」。そんな問いを基に、6LACKと一緒に作りました。デモをやりとりしながら完成させていくのは楽しい経験でした。 ツアー中に6LACKのバースを受け取った時は本当に感動しました。Uberで会場に向かう途中にその音源を聴いて、すぐにみんなに聴かせたくてたまらなかった! SOMEWHERE NEW “違う”という理由で感じる痛み、自分の本当の居場所を見つける旅、そしてそこに辿(たど)り着くためにすべてを置いていくbittersweetな感情を描いていて、ニューヨークのAirbnbで録音しました。曲の静かな部分では、外のクラクションや人の声など、街の音が聞こえるので、よく耳を澄ましてみてください。 SAFEROOM アルバムの中で唯一、他の人が書いた曲。作詞家のDiane Warrenと初めて会った時、出会ってわずか3分で「UMI、あなたにぴったりの曲があるわ」と言ってこの曲を紹介してくれました。それ以来、この曲はまるで私の赤ちゃんのように大切な存在です。 UMIが“安全な居場所”であることを象徴しています。 10AM リスナーとの旅の締めくくり。この曲の歌詞とメロディは、私の初期の音楽のように懐かしく、まるで“海の感覚”のような気持ちにさせてくれます。制作は、私が瞑想用の打楽器を叩いていたところから始まりました。その音をボイスメモで録音して、そこからすべてを構築していきました。ボーカルはデモのまま。何度も録り直そうとしたけど、結局その瞬間の“魔法”は再現できなかったんです。