

パース出身のペンデュラムは2000年代半ば、その変幻自在のエレクトロニックロックがイギリスとアメリカで高く評価され、オーストラリアを代表するバンドとして名をはせた。しかし、創設メンバーのロブ・スワイアとGareth McGrillenが、ダンス色を強めたデュオ、ナイフ・パーティーの活動に時間を費やし始めたこともあり、ペンデュラムとしての新作『Inertia』は実に15年ぶりのアルバムとなった。とはいえ、本作は完全な新作というわけではない。収録曲の半分は2021年のEP『Elemental』と2023年のEP『Anima』からの楽曲で構成されている。それでも既発曲は自然に溶け込み、新たなサウンドを探求し続けるバンドの姿勢をしっかりと映し出している。ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインがスクリーモ的な影響を持ち込んだ「Halo」や、Joey Valence & Braeによるラップロック的なアプローチが光る「Napalm」など、巧みなコラボレーションが作品の幅をさらに押し広げる。さらに本作には、バンド自身のキャリアを振り返るような楽曲も並ぶ。オープニングを飾る「Driver」ではジェットコースターのようなEDMの展開と、大作映画のようなドラムンベースのブレイクを取り入れている。「Archangel」ではクラシックなシンセポップの趣を色濃く漂わせ、「Colourfast」ではハイパーポップの要素を織り交ぜ、リードシングル「Save The Cat」では、普段は抑制を効かせるスワイアが、ドラマチックなスクリームを解き放つ。ハードな質感と豊かなメロディが共存する本作は、バンドのディスコグラフィを力強く総括しつつ、未来への可能性をも感じさせる。